日本上陸2年目で3回目の開催となったスパルタンレース。世界39か国で165以上のレースが開催され、世界参加者数100万人以上、年間観客数30万人以上をほこり、"世界最高峰の障害物レース"とも言われています。
昨今のフィットネスブームの煽りを受け、また、ランニングチームの"マラソンの次のモチベーション"として注目を集めています。今回の開催場所は千葉。広大な敷地面責のある東京ドイツ村に7kmに及ぶコースを設置。ゴールまでの間に参加者は22個の障害物をクリアしなければなりません。タイムを競うエリートをはじめ、初挑戦者向けのSPRINTや、12歳以下の子供も参加できるKIDSレースなど、エントリーコースは様々。
スパルタンレース当日の天気を心配しなくていい理由
レース当日の天気予報は曇りのち雨。雨が降るのかどうか心配しつつも、「どうせゴールする頃には全身ドロドロなので関係ないか」と思えるのは、複数回参加しているから。そうなんです。同レースでウエアが綺麗なままゴールして写真におさまるのは不可避。今回は特に水に潜り障害物をくぐる「Dunk Wall」が設置されているので、雨どころではありません。
雨雲が見つめる中、当日は、3,950名の出場者が東京ドイツ村に集まりました。まずは、タイムを競うSPRINTエリート(男子)がスタート。大きな掛け声のあと、エネルギーの塊が障害に向かって走り出しました。
お馴染みの有刺鉄線の下を匍匐前進で進む「Barbed Wire Crawl」、手だけを使い壁を横断しベルを鳴らす「Olympus」、そして、筆者が最も辛いと思った砂の入ったバケツを担いで運ぶ「Bucket Brigade」、前出の「Dunk Wall」などをクリアしてゴールを目指しました。
SPRINTエリート(男子)の優勝タイムは44分46秒。マラソン時の7km走と比較すると随分と時間がかかっていると感じるでしょう。しかし、裏返すとそれほど障害に費やす時間が長いということ。また、障害をクリアできなければ、その場でバーピーを30回。ですので、タイムロスがあるため障害の度に首位選手が入れ替わったりするのです。女子の優勝選手のタイムは1時間1分07秒。ゴール後は記念のメダルがもらえます。
また、今回から新設のSPRINTエイジグループは、年齢グループごとに競います。同年代の中での自分の現在地を知ることができる良い機会に。こちらには、最高齢84歳の方をはじめ、427名が参加。多くの参加者がいたのは、SPRINTオープン。こちらは3,284名の方々が参加。
スパルタンレースは"見る"と"やる"とでは随分と違う
筆者のチームも2回目のスパルタンに挑んでみました。
準備したのは、リーボックのスパルタンレースシューズ「オール テレイン スーパー 3.0」(写真左、左から3人目)。グリップ性の高いアウトソールと軽量なところが特徴。貝殻を模したフィッティング構造でシューズと足とをしっかりと密着してくれます。同レースだけでなく、トレランにも使用可能。また、30代ランナー(写真左から2人目、4人目)はインナーに大谷翔平選手も愛用するSKINSを。特にコンプレッションウェア「K-PROPRIUM」は自己受容感覚を高めて身体のコンディションを快適にし、 より良いパフォーマンスが出せるよう設計されています。普段はランニングを楽しむメンバーですが、この"非日常"のレースに挑むにあたって、アイテム面の拡充にもつい熱が入ってしまいました。
さて、実際のレースはというと、見ているのとやるのではまったく違います。障害がクリアできずに何度バーピーを行ったことか......。
前半は(5kmまで)トレイルランの延長戦のようなコース。東京ドイツ村の山中を走り抜けます。その間、ハードルバーや壁を乗り越える障害や、サンドバッグを抱えて進む障害、有刺鉄線の下をくぐる障害などが配置。できるだけスピーディーにこれらをクリアして、タイムを縮めたいところ。匍匐前進で有刺鉄線をくぐる頃には、もうウエア全体が泥だらけ。綺麗なままでは帰れない、と覚悟が決まる瞬間でもあります。
レース後半には多くの障害が待ち受けます。バケツを持った状態でコースを一周する障害、槍を投げて的に突き刺す障害、片足を地面につけた状態で重り付きのロープを引っ張る障害、吊革から吊革に手のみを使用して飛び移って最後のベルを鳴らす障害、お尻が地面に付いている状態で座ったまま重りを地面の杭まで引っ張る障害、ロープを上り、手を使ってベルを鳴らす障害、石を反対側の旗まで運び、そこで石を置いてバーピーを5回行い、再び、石をスタート始点の旗に戻す障害と、徹底的に上半身、特に腕を酷使する障害が続くのです。これがまた辛い。
ただ、新鮮な視点は、前回できなかった石を運ぶ種目「Atlas Carry 」をクリアできたこと。どの種目もそうですが、障害の前には一旦、気持ちを集中させる必要があります。気持ちと体のタイミングを合致させることが、障害をクリアできるかのターニングポイント。前回、うんともすんとも動かなかった石を、今回は、タイミング良く持ち上げ、運ぶことができました。この成長を感じることができるのは、また、このレースに挑戦してしまう中毒性なのでしょうか。
最後はずぶ濡れになったまま火の上を飛び越えてゴール。一緒に走ったメンバーと労をねぎらい合います。いつものマラソンレースだと、自分と戦って、ライバルと戦うのですが、スパルタンレースにいたっては、それに加えて障害とも戦う必要があります。必然的に戦う相手が分散されるので、ライバルももう仲間のようなものです。女性のエリートクラスでは首位争いの選手同士が声をかけ合っていたのが印象的でした。
また、難しい障害に対してお互いに声を出し合って励ますシーンや、障害をクリアした時の達成感を考えると、同レースは複数人参加がオススメ。会場にも多くのチーム参加者を見ることができました。この日にあわせてチームでトレーニングを重ねていたという参加者もおり、もはや「スパルタン=チーム戦」といっても。レース終了後の打ち上げもまた楽しい。
すでに4回目の開催(2018年2回目のレースは9月8日に水上宝台樹スキー場:群馬県利根郡みなかみ町で)が決まっているスパルタンレースですが、ぜひ、次回開催時には、普段仲良くやっている仲間と参加してみては。
レースを終えて一週間、有刺鉄線で切った傷15cmがようやくかさぶたになってきました。傷が癒えて同レースが思い出になる前に、トレーニングをはじめないと、と思う今日この頃です。
2018 年 2nd Race開催決定!!
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※同記事は『Runtrip Magazine』に掲載されたものを加筆・編集したものです。 【『Runtrip Magazine』とは】 "自分史上最高の波"を求めて旅をするサーファーの「サーフトリップ」のように、"自分史上最高の道"を探るランナーの「ラントリップ」。 『Runtrip Magazine』は、「ラントリップ」というライフスタイルを広く伝える、株式会社ラントリップのオウンドメディアです。