■成功者はチャンスをかぎ分け、つかみ取る
運命というのは、どこでどう変わるかわかりません。
考えもしなかったタイミングで、思いもしなかった人に出会い、そこから想像もつかなかった人生が展開し始める。
これこそが、人生の醍醐味でしょう。
実は、私が出会った多くの成功者の方々も、この「偶然」によってチャンスをつかんできたといいます。
そのチャンスをものにできるか否か、そこが成功の分かれ目でもあるのです。
■「ここぞ!」の場面で使える「技術」がある
何故、同じようなことが日々起こっているのに、成功者たちはそれを「チャンス」と感じ取れるのか。また、一体、その「チャンス」をものにするために、何に気を付け、どんなアプローチをしているのか。
実はここにいくつかの共通点があるのです。
たとえば、彼らの運命を変えたという場面でよくあげられていたのが、「パーティー会場」です。そこには、多くの「出会い」や「チャンス」が埋まっているからです。
彼らがしているポイントは8つありました。
■「チャンス」を「成功」に変える「聞く技術」
1)下調べをする
もし、参加するパーティーの参加者が何人で、どなたが参加されるかといった情報を可能ならば入手します。
そして、その中からお話したい人や、興味のある人、ご挨拶したい人等を事前に把握しておきます。
パーティーのような会場では、人の出入りも激しいですし、そもそもターゲットの相手がどのくらいの時間そこに滞在するか分かりません。
ですので、チャンスを無駄にしないよう、準備とそれに対する対策が必要になります。
2)「目標」を考える
次に、「目標」を考えます。
一足飛びに「ともにビジネスをする」「仕事を頂く」というようなビッグビジョンよりは、自分の名前を覚えてもらう、自分の存在を知ってもらう、名刺交換させてもらう、という目標の方が、より自然で、次につながりやすくなります。
3)初対面で印象付ける
ただでさえ、パーティー会場は多くの人でごった返しているもの。
しかも、ほとんどが初対面というような場では、挨拶をしたのを忘れて再び挨拶してしまうということさえ起こり得ます。
恐らく、その日だけでも数十枚という名刺を頂き、後で振り返って誰が誰だかわからないということもよくある話です。
そんなパーティーの会場で、いかに自分の名前を覚えてもらうのか。また、自分の存在を認めてもらうのか。
それには、印象に残る挨拶をすることです。
例えばその際、相手との共通点に着目してみてはいかがでしょう。
「実は同郷なんです。行かれていた高校はどちらですか」といった地元のタグをつける。また、「以前勤めていた会社は、御社と取引をしておりまして、私はその窓口をしていたんですよ」といった取引先のタグをつける。
それによって、格段に覚えてもらいやすくなります。
また、自身一人で歩み寄るよりも、間に1人紹介者を通した方が、より信頼度も上がりますし、「○○さんのご友人の方」というタグをつけてもらえることにもつながります。
4)「素」を見せる
初対面で、しかも、相手がこれから取引をしたいと思っている方や、目上の人物の場合、緊張しないわけはありません。
しかし、この緊張というものは、実はかなり厄介です。
この緊張は、あなた自身を強張らせるだけでなく、相手の気持ちにも波及していきます。
ぎこちなさは場も支配します。
つまりは、相手の抱く貴方の第一印象において、魅力を減じてしまうのです。
すると、興味深い話も十分に楽しむことが出来ない上に、伝わることも伝わりにくくなります。
だから、あえて自身から「素」を見せる。
勿論、その際、敬意、尊敬の念は必要です。
しかし、初対面の壁を取り払うような気持ちで向き合うのです。
それによって、初めての出会いを十二分に満喫し、そして、相手をより深く知れ、相手にも自分自身のことをよく理解してもらうことが出来るようになるのです。
5)相手へのメリットを考える
次に、相手に貴方が与えられることに集中します。
相手が大物すぎたり、業界が違いすぎたりする時、自分が相手へ与えられるメリットなど何もないと思ってしまいがちです。
しかし、そうではないのです。
相手にとって知らないこと、考えてもみなかった切り口が有効なメリットになります。
たとえば、相手が男性で、自身が女性であれば、女性目線で感じる相手企業の商品についてでもいいかもしれませんし、世代が離れていれば、自身の周りでどんなものが流行っているのか、どんな考えをしているのかも参考になるでしょう。
つまり、貢献する内容は大仰なものでなくてもいいということなのです。
相手が少しでも面白いと思えるもの、「へえ」と思えるものでも構わないのです。
6)自分の言いたいことを「疑問形」にしてみる
短い時間で相手に認めてもらいたい。
なんとか自身のアピールをしたいと思っても、なかなか初対面では難しかったりします。そもそも、日本では、そのような態度が奏功しにくいという文化もあるようです。
では、どうしたらいいのでしょう。
そのために、自分の言いたいこと、伝えたいことを「疑問形」にしてみるのです。
そして、その後は、相手にボールを渡し切ってしまうのです。
何故、このやり方がいいのかというと、そもそも、人は自分の意見を発信したいと感じているようです。特に、成功している方であればあるほど、発信する機会が多いので、ついその責任感から、ご自分が話すという立場を好んで取られる方が多いように思います。
どのように疑問形にするのかというと、たとえばこんな感じです。
「今、わが社ではこのようなプロジェクトを進めているのですが、なかなかうまくいきません。私は××というところに問題点があるのではと思っているのですが、是非、プロの経営者のお考えをお聞かせ下さいませんか?」
ただ、相手にボールを渡すだけでは、話を聞いてくれる「いい人」にすぎません。
相手にとって、貴方という人が何を考えているのかも伝わらないばかりか、印象にも残らないでしょう。
また、このように疑問形にすることで、釈迦に説法という失礼さも回避できることになります。
7)最高のラップアップをする
別れ際も気を付けることがあります。
まず、パーティー会場では恐らく貴方以外にも相手の方とお話したい人が大勢いるはずです。だから、お話させて頂く時間にも配慮しなければいけません。もし、他の方がお話されたそうな状況であれば、基本は1-2分まででしょう。
また、普通に立ち去るだけでなく、もう一度、自分自身を覚えてもらうための工夫が必要です。その際、名前をもう一度いうというような念押しではなく、「感動」「嬉しさ」「気遣い」といった感情で記憶に残して頂きましょう。
たとえば、「ずっとお会いしたかったので本当に嬉しかったです」、「お話させて頂き、光栄でした」というようなものや、「いまちょうど雨降りだしたみたいなので、お気を付けてお帰り下さい」というような言葉でもいいでしょう。
相手がどう思ったかはわかりませんが、少なくとも自分自身はこの会話を十分に楽しんだ、という意思が伝わればいいのです。
8)最後に自分自身に宿題を出す
もう一つ、実は最後に重要なことが残っています。
それは、自身に次につなげる「宿題」を出すということです。
たとえば、
「本日、お話した内容の雑誌のコピー、ご参考までにお送りさせて頂きますね」
「早速、共通の知り合いの××さんにも連絡してみます」
「本日お話して下さったお店、是非行ってみます」
といったようにです。
それらのフォローによって、ご縁が次につながり、そして、それが思いもかけない結果を生み出すことになるのです。
■敬語さえまともに話せなかった私
実は、このやり方は、私自身が10年以上にわたる経済キャスター/ジャーナリスト人生の中で試行錯誤して作ったメソッドの一部です。
今でこそ、職業柄、話し上手、コミュニケーション上手であると思われがちな私ですが、実はもともと、大変人見知りで、引っ込み思案、人付き合いが大の苦手な人間でした。
そんな私が、最初に就職した会社が倒産したことで、ご縁あってフリーランスのキャスターの道を歩むことになったのです。そして、そのお仕事で打ちのめされる日々。それもそうでしょう。いきなり素人がプロとしてお金をもらう立場になったのです。しかも、当時の私は、画面の向こうの人たちに上手く伝えることが出来ないという「話す職業人」としてはおろか、「社会人」として、まともに敬語さえ話すことが出来ず、スタッフやディレクター、プロデューサーの方にさえ呆れられ、悔しくて、情けなくて、涙する毎日でした。
しかし、もうこれ以上、自分の目の前の職を失いたくない、会社にはもう頼ることが出来ないと、自身の力で1日1日をフリーという厳しい世界で生き延びるため、成功者にお話を伺ったり、自分自身でインタビューの時に試してみたりと、試行錯誤して見出したのが、この「聞く技術」、「アクティブ リスニング」なのです。
■誰にでも使える3ステップ、48のスキル
この「アクティブ リスニング」という技術は、「準備」⇒「本番」(傾聴+問答)⇒「フォロー」の3ステップの手順に沿えばすぐに使えるようになっています。
また、場面に応じて使いやすい「48のスキル」も用意しました。
話し下手だからこそうまくいく、それがこの「聞く技術」、「アクティブ リスニング」なのです。
人と対面したり、話したりすることが苦手で悩んでいる人、結果がなかなか出せない人に是非お伝えしたい本です。
ご一読頂けましたら嬉しいです。
「アクティブ リスニング なぜかうまくいく人の『聞く』技術」(ダイヤモンド社)