「今年は冷夏らしいですよ。」
いったいどこの誰でしょうか、そんなことを言っていたのは。
先日のランチのとき、こんなに暑いと仕事に集中できなくて困ってしまうと友人がこぼしていました。
特にこの4つがヒドいと。
1)クーラーが苦手だから窓をあけていると周囲の雑音が気になる
2)長時間仕事していると途中で飽きる
3)同時並行で複数の仕事を進めようとするとかえって効率がわるくなる
4)一仕事終わってから次の作業へスパッとシフトできない
今年はこの猛烈な暑さもあって、仕事に集中しにくいと悩まれている方も多いと思います。
まさに上の4つに悩んでいる!という方も多いのではないでしょうか。
でも、この4つって、どれもちょっとずつ性質が違うようにも聞こえませんか?
そう、実はこれ、全部異なる種類の"集中力"。心理学の世界では、集中力は4つの種類に分類されるんです。
1.継続的集中力(sustained attention)
長期間、何か特定のものを検知するために集中を持続させる能力 。(1)
2.選択的集中力(selective attention)
複数の情報があふれているとき、その中から選択的に注意を向ける能力。周囲の会話に気を取られず、自分が関わっている会話やディスカッションにだけ集中するのはこれ。(2)
3.実行的集中力(executive attention)
分割集中力(divided attention)ともいいます。マルチタスクするとき、全部の仕事に集中力を分散させるのに使う能力。 (1)
4.切り替え(attention switching)
有るタスクから別のタスクへと、素早く効率よく集中を切り替える柔軟性。
出来るオトナになるために必要な能力ってどれだろう...って全部じゃん。
全部の能力をそれぞれあげるなんてことできないよ、どうしよう、ドラえもん。
と途方にくれていると、のび太くんを助けるドラえもんのごとく、科学の研究がその秘策を教えてくれました。
4種類の集中力のうち、2種類を同時にあげられるすごくシンプルな方法があるのだと。
それがなんと、前回も紹介した「瞑想」なのです!
ドラえもんの力を借りずとも解決です。
集中力に対する瞑想の効果に関する研究を論文検索サイトで調べてみると、じゃんじゃんヒットして、すごい数が出てきました。全部見るだなんて、そんな大変なことをする必要はありません。世の中頭のいい人がいるものです。イタリアのBologna大学のChiesaという学者さん達が、これまでの研究を洗いざらい調べてまとめてくれています。総合すると、結局は全部の4種類の集中力に効果があるみたいなんです。
瞑想の時間は一日20分〜90分と、研究によって異なるのですが、瞑想をしたグループと、瞑想をしなかったグループで、集中力に関するテストを行ったところ、瞑想をしたグループの方が、統計的に優れた成績だったそうです。Tangら(5) によると、一日20分の瞑想を5日間行っただけでも、集中力とセルフコントロール能力が向上したと報告されています。
どんなメカニズムが働いているかを説明すると長くなってしまうので、その説明はまた次回。
ひとまず、集中力を高めるためのツールとして、一日5分からでも、試してみてはいかがでしょうか。
参考文献:
(1) University of the Witwatersrand http://global.britannica.com/
(2)「科学事典」http://kagaku-jiten.com/
(3)Hanania, R., & Smith, L. B. (2011). NIH Public Access, 13(4), 622-635. Selective Attention and Attention Switching: Toward a Unified
(4)Chiesa, A., Calati, R., & Serretti, A. (2011). Does mindfulness training improve cognitive abilities? A systematic review of neuropsychological findings. Clinical Psychology Review, 31(3), 449-64. doi:10.1016/j.cpr.2010.11.003
(5)Tang, Y.-Y., Ma, Y., Wang, J., Fan, Y., Feng, S., Lu, Q., ... Posner, M. I. (2007). Short-term meditation training improves attention and self-regulation. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 104(43), 17152-6. doi:10.1073/pnas.0707678104