最近、「しみわたり」という言葉の意味を知らない都会の友人に何度か会うことがあり、心を痛めている。「しみわたり」とは、昼夜の気温差が激しい冬の日、昼間に溶けて水っぽくなった雪が、早朝の寒さで凍り付き、雪の上を歩くことができるようになること。年に数日しかすることができず、それなりの積雪量がある新潟などの雪国でしかできない体験だ。
3月13日は新潟県も15度近くまで気温が上がり、翌日の朝は氷点下近くまで下がった。私は朝6時半ごろ、1歳の息子を連れて、田んぼの上に積もった雪の上を歩いた。アスファルト並みにガチガチに固くなっており、私はサンダルのままで大丈夫だった。息子にとっては、人生で初めてのしみわたり。広大な白い砂漠を、車にぶつかる心配もなく360度自由に歩き回ることができ、息子も「キャキャ」と雄叫びを上げた。
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私が小学校の頃は、しみわたりができる日は、先生が1限目の授業を「しみわたり教室」に急遽変更して、皆でわいわい雪の上を歩いたものだ。外国人観光客にとっても楽しめるはずで、もっともっとしみわたりをPRできないだろうか?無論、天気に大きく左右されるため、遠方からの「しみわたりツアー」の企画は難しいだろうが、すでに新潟へ訪れている人たちに「明日はしみわたりができる可能性が高いですよ」などと宿泊施設などを通して呼びかけてはどうか。
近くに住む中東出身の友人は「雪国の人は除雪作業が大変とか言って、雪をマイナスにとらえがちですが、砂漠しかない中東の産油国にとって雪はダイアモンドになりえます。うまくPRすれば、中東のお金持ちがたくさん訪れるようになりますよ」と言う。是非、「しみわたり」を常用語にして、雪国の魅力をPRしていきましょう!