今年もロンドンで行われるデザインのお祭りに世界中から人が訪れるロンドン・デザイン・フェスティバルの季節になりました(オフィシャルサイト:London Design Festival)。 今年は9月16日(土)から24日(日)にわたってロンドン市内の各地で、クリエイティブ事務所・メーカー・ショップがオフィス・工房を一般にオープンし、屋外では大規模なデザイン・インスタレーションが行われ、クリエイティブたちによる各種セミナー・パネルディスカッションが行われ、さまざまな展示会にバイヤーが集います。
2012年、ニューヨーク・タイムズにこう言わせたロンドン、
悪いな、ミラノ・東京。 残念だったね、ストックホルム・パリ。 アインドホーベン・ベルリン・バルセロナ・・・そして特にニューヨークよ、許しておくれ。
だけどロンドンこそが世界のデザインの首都だ。
デザインの首都の最大のお祭りであるデザイン・フェスティバル、少し古いですが、その意義について4年前にも書いているのでご覧ください( 『ロンドンのデザイン・エコシステム』)。
街中が右のロゴで溢れ、観光客でも気軽に立ち入ることができるのですが、見どころが多いので、ざっくりと全体の概要をご説明します。
Open House London 2017(9月16ー17日)
正確にはロンドン・デザイン・フェスティバルの一部ではないのですが、毎年デザイン・フェスティバルが始まる週末の2日間にかけて行われます。
建築を理解する最良の方法は体験すること
というコンセプトのもと、普段は一般公開されていない市内800ヵ所の建築が一般公開されます。 今年は有名な建築事務所Foster + Partnersの創立50周年を祝って、Foster + Partners建築のビルが多く公開されています。 事前申し込みが必要な建物はもうほとんど満席となっていますが、当日に並ぶことで入れる建築がほとんどです。 地図と連動しているアプリを事前に携帯にダウンロードしておくと便利です。
大成功したロンドンのOpen Houseをもとに、世界中の都市に広まっているのでお住まいの近くでもあるかもしれません( 『世界に広がるオープン・ハウス』)。
街のあちらこちらのパブリックスペースに展示されるランドマーク・プロジェクト。 気鋭の建築家やデザイナーを招聘して時事問題や環境問題など現代が抱える問題をテーマにクリエイトされたインスタレーションが展示されるコンセプト・プロジェクトです。 旬のクリエイターが新しいマテリアルをどう使うか、現代の問題にどう向かうか、など思考のプロセスを見られるのが楽しい知的刺激が得られます。
フェスティバルのハブ博物館はアートやデザインにおいて世界最高峰の博物館のひとつヴィクトリア&アルバート(V&A)博物館です。 常設展示の質と量も比類なきものですが、いつも特別展がすごいです。 フェスティバル期間中はヴィクトリア時代の荘厳な建築の展示室の中で、これまた気鋭のデザイナーがインスタレーションを行います。 こちらもコンセプチュアル(概念)な展示が多いですが、世界最高峰のアート・デザインを見せる展示室というコンテクスト(文脈)の中でコンテンポラリー・アートを見せるという、上記、屋外で行われるランドマーク・プロジェクトとはまた違った文脈を提起してくれます。
各種展示会
フェスティバル期間中、各種展示会に業界人が集結します。 一般が入れる展示会も多いので、興味がある展示会は覗いてみることをお勧めします。 トレンドがいち早く出てくるのはもちろんのこと、セミナーやワークショップが多く行われ、インスピレーションが得られます。
開催日程順から、高級インテリア商材を扱うDecorex(9月17 - 20日)、高級インテリアデザイン系ショールームが集合するデザインセンターで行われるFocus/17(9月17 - 22日)、来場者数最大、イギリス国外の展示者が多いコンテンポラリー・デザインの100% design(9月20 - 23日)、キングス・クロス再開発地区という新しい再開発地区で行われる、ロンドンらしいエッジーなコンテンポラリー・デザインのプロダクトが中心のdesign junction(9月21 - 24日)、若手デザイナーの登竜門であるTentとグローバル・ブランドのSuper Londonという2つの展示会が合体したLondon Design Fair(9月21 - 24日)です。 私は毎年全部行きますが、ロンドンっぽさと言えばdesign junction、若手が出てくる場を見たいのであればLondon Design Fair、ザ・ラグジュアリーであればDecorexがお勧め。
東京もそうだと思いますが、ロンドンが面白いのはエリアごとの個性がはっきりしているところ。 デザインの首都と言われる大都会ならではで、都心から離れ郊外に行くと金太郎飴化しているのは、どこの先進国も同じです。 プライベート・エクイティ(PE)や法律事務所のオフィス、高級レストランなどが集まるMayfairと、もともとカリブ系黒人が多く治安の悪さで知られ80年代には有名な暴動が起こったBrixtonでは、そこに集まる人もオフィスを構える会社も全くタイプが異なります。 デザイン・フェスティバル期間中は、各エリアごとにデザイン系オフィス・ショップ・飲食店などがスペースを開放したりワークショップを開催したりイベントを行ったりするので、異なるエリアの面白さが直に体験できるようになっています。
このDesign Districtsは年々参加地区が増えて今年は(アルファベット順に)Bankside、Brixton、Brompton、Chelsea、Clerkenwell、Islington、Shoreditch、Mayfair、Pimlico Roadの9地区で開催されます。
Design Frontiers(9月18 - 24日)
テムズ河沿いの美しいネオ・クラシカル建築のサマセット・ハウスで開催される、去年は「ビエンナーレ」という名前だったのですが、今年は名前が変わりました。 おそらくヴィネチア・ビエンナーレ的な立ち位置を目指しているのだと思われるコンセプチュアルなインスタレーションを集めたのが特徴。 国外からの来場者も多いデザイン・フェスティバルですが数が多いので差別化も大変なのでしょう。
だいたい以上だと思いますが、漏れているかもしれません。
見どころは各種デザイン系メディアがカバーしているので、そちらで情報収集してから回るのもいいと思います。
Dezeen: London Design Festival 2017
今年はデザイナーに限らず、建築家・アーティスト・写真家・ライター・料理家・旅人などクリエイティブな人と一緒に回れないかなーと思っています。 上記の通り見どころが多いので、どの日にどこに行くかはすでにかなり決めてしまっているのですが、1日でもいいので一緒に行きましょう!という方がいればご連絡ください!
インスタ始めました。 @yokokloedendesign