「ロボットの記事」と書くととロボットに関する記事のように思うかもしれないが、ロボットが書く記事、ロボット・ジャーナリズムのことを話題にしたい。

「ロボットの記事」と書くとロボットに関する記事のように思うかもしれないが、ロボットが書く記事、ロボット・ジャーナリズムのことを話題にしたい。

米国においては、ワシントンポストやAP通信などで昨年あたりからロボットが記事を書く、というのが現実のものとなっている。つまり、自動生成技術を使って記事を書く、ということだ。

ロボットはどんな記事が得意なのかというと、例えば企業の決算記事。確かに主に数字によって構成される記事はロボットが得意だろう。これらの記事を人が書くときでも元となるデータはだいたいデータベースから取り出してきているわけで、それを使って記事そのものを書くこともそれほど難しくはないだろう。

数字、という意味で言えばスポーツの記事もそうだ。確かにこれもこれまではデータベースを使って、その時々に必要な数字を引っ張り出してきていたわけだが、データベースを使って記事を書く、というのなら

いっそのこと、ロボットが書いた方が早くて正しい記事が書けるだろう。

米国にはナラティブ・サイエンス社などいくつかこの手のサービスを提供している会社があるというし、

ロサンゼルスタイムスには地震を感知したら3分で記事を自動生成するシステムがあり、昨年発生した地震の際も発生数分後にロボットが自動生成した記事を配信できたという。もうロボット・ジャーナリズムは現実のものとなっているのだ。

では人はやることがないのか?

答えはNo!

スポーツ記事の自動生成を進めているある米国メディアの編集の責任者はプロスポーツの記者にこう檄を飛ばしているという。

ロッカールームに行け!

ロッカールームには数字で表すことのできない選手たちの言葉、立ち居振る舞いがある。

そこを取材せよ、それを記事にせよ、とその責任者は言う。そのためにロボットでできることはロボットにやってもらおう、ということなのだ。

今週末から高校野球が始まる。

今年で百年目を迎える高校野球。

様々な歴史と記録で成り立っているわけだがロボットでは分析できない部分、ロッカールームの息づかいをぜひとも記事として僕らの元に届けて欲しいと思う。

ふるかわ 拝

(2015年8月4日「週刊yasushi」より転載)

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