2016年7月1日より、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ)とWWFは生物多様性と気候変動の分野で協働を開始しました。これは、自動車業界として世界初、日本企業として初の「WWFグローバル・コーポレート・パートナーシップ」契約に基づくもので、期間は5年間を予定しています。両者は7月20日、東京と名古屋で記者会見を行ない、その内容を発表しました。
WWFの「グローバル・コーポレート・パートナーシップ」とは、人と自然が共存する持続可能な社会を目指すため、
- 持続可能な事業活動の推進
- 社会への環境コミュニケーション
- 自然保護プロジェクトへの資金支援
の3分野をグローバルな規模でWWFとともに行なう企業パートナーのことです。
2015年現在、この定義に基づくパートナー企業は世界に約30社ありますが、トヨタは、自動車業界、および日本企業として初めて、WWFとこのパートナーシップを結んだ企業となりました。
このパートナーシップの発効に伴い、2016年7月20日、両者は共同で、東京および名古屋で記者説明会を実施。
両者が協働にいたった背景、および今後の展望について国内外に広くアナウンスしました。
説明会では、まずWWFジャパン事務局長の筒井隆司より、グローバル・コーポレート・パートナーシップの概要、および、本パートナーシップを機にトヨタよりご支援を受ける「生きているアジアの森プロジェクト(Living Asian Forest Project)」の内容を解説。
次いで、トヨタ自動車株式会社 環境部長の根本恵司様より、トヨタとして、パートナーシップおよびプロジェクトに参画する意義についてお話いただきました。
持続可能な社会の実現に向けて「生きているアジアの森プロジェクト」
インドネシアをはじめとした東南アジアでは、急激に森林減少が進んでいます。
この原因は日本の消費活動とも関連が深く、木材や紙パルプ、パーム油、天然ゴムの需要によるプランテーション造成の拡大が大きな課題となっています。
これらの産品の持続可能な生産と利用の推進は必須の取り組みであり、WWFはボルネオ島、およびカリマンタンで、さまざまな活動を行なっています。
トヨタは、東南アジアの生物多様性保全に貢献するため、WWFが進める森林保全活動、および、メコン地域における天然ゴムの持続可能な利用を促進する「生きているアジアの森プロジェクト」をご支援いただくことになりました。
2016年度はこのプロジェクトに100万米ドルのご寄付を頂き、各地の様々な保全活動のために活用されます。
気候変動問題の解決にむけて
一方、WWFは、気候変動による深刻な影響を抑えるためには、地球の平均気温の上昇を産業革命の前と比べて2度未満に抑える必要があることから、企業に対し、科学的知見と整合した削減目標の設定を推進するイニシアチブ「Science Based Targets(科学と整合した目標設定)」を推進しています。
トヨタは、このSBTの参加企業でもあることから、WWFは、気候変動問題の分野においても、長期的なビジョン・目標や着実に削減を進めていくための短・中期目標について、トヨタと継続的に協働していきます。
「地球環境の悪化を食い止め、人類が自然と調和して生きる未来を築く」というWWFのミッションは、トヨタが2015年10月に発表した「トヨタ環境チャレンジ2050」の「CO2ゼロチャレンジ」や「人と自然が共生する未来づくりへのチャレンジ」のビジョンと重なります。
このパートナーシップが成立した背景には、この、両者に共通する「想い」があります。
WWFとトヨタは、今後、生物多様性の保全と脱炭素社会の実現に向けて、さまざまな協働を行ないます。
また、このパートナーシップを通じ、地球環境保全に向けたステークホルダーの意識の高まりにも寄与することを期待しています。