アフリカ経済成長:一次産品が牽引した経済成長期は終わり、成長が減速

サブサハラ・アフリカの成長率は、2014年の4.5%から2015年は4.0%に減速するだろうと、半期に一度アフリカ経済を分析する世界銀行の報告「アフリカの鼓動」の最新版は指摘する。
World Bank Group

サブサハラ・アフリカの成長率は、2014年の4.5%から2015年は4.0%に減速するだろうと、半期に一度アフリカ経済を分析する世界銀行の報告「アフリカの鼓動」の最新版は指摘する。

4.0%という2015年の見通しは、過去20年間の年間平均4.4%成長を下回る。これまでで最高の成長率を記録した2002年~2008年の6.4%には遠く及ばない。南アフリカを除くと、サブサハラ・アフリカの平均成長率は約4.7%になると予測される。

「強い逆風と新たな課題はあるものの、サブサハラ・アフリカは今も成長を続けている。困難はあるが、その一方で種々の可能性も見える。一次産品が牽引した経済成長期が終わった事で、次なる一連の構造改革を推進し、貧困削減により効果的な形でアフリカが成長する絶好の機会が開けている。」と、マクタール・ディオップ世界銀行アフリカ地域総局副総裁は述べた。

■アフリカの輸出はなおも一次産品が大半を占める

サブサハラ・アフリカは、一次産品の純輸出地域である。貿易品目の中で最も重要な一次産品は原油で、金と天然ガスが続く。この3大品目の輸出高だけで、主要石油輸出国8カ国の全輸出の90%以上を占め、対GDP比は30%近い。しかし、最近の価格下落は原油だけにとどまらず、今や他の一次産品価格も、原油価格と、或いは一次産品価格同士で、密接に連動している、と同報告書は指摘している。

とは言え、一次産品価格下落の影響は産油国でも一様ではなく、アフリカ経済の多様性の高さが見て取れる。例えばナイジェリアでは、今年は景気が後退すると見られるが、経済多様性が比較的高い上サービス・セクターが好調なため、2016年以降は回復が見込まれている。またアンゴラや赤道ギニアなどの多様性の乏しい石油輸出国の見通しには、今後も原油安が影を落とすだろう。コートジボワールやケニア、セネガルなどいくつかの石油輸入国では、力強い成長が続くと見られる。インフレ率が今なお高く、財政再建の途上にあるケニアでは、成長が鈍化するだろう。南アフリカの成長は引き続き、電力セクターの問題の影響を受けるだろう。

2014年、海外直接投資の流入は、新興国の成長鈍化と一次産品価格の下落を受けて落ち込んだ。アフリカ諸国は引き続き、国際債券市場でのインフラ・プロジェクトの資金調達を模索している。例えば、コートジボワールは今年2月に再び市場に進出し、エチオピアは2014年12月に初のソブリン債を発行した。債務負担は概ね管理出来るレベルで推移しているものの、債券市場アクセスの増えた国の債務の対GDP比は、ここ数年で上昇している。さらに、世界の金融情勢をめぐる不確実さも、警戒感を招く要因である。

■アフリカ経済の将来に対する新旧のリスク

一部地域における根深い紛争に加え、最近ではボコ・ハラムやアル・シャバーブなどの過激組織による襲撃が安全保障上のリスクとなって、開発の成果を台無しにする恐れがある。

エボラ出血熱の大流行への対応には大きな進歩が見られたが、症例数ゼロの目標を達成するまで勝利宣言をするにはまだ早い。1月に発表された世界銀行の調査によると、最も深刻な影響を受けた3カ国(ギニア、リベリア、シエラレオネ)は、2015年に少なくとも16億ドル相当の経済成長が失われるばかりか、栄養、保健、教育などの社会的コストも同様に打撃を受けるだろう。世界銀行グループはこれら3カ国に対し、これまでに約10億ドルの支援パッケージを決めている。

■なおも残る政策面の課題

域内の純石油輸出国の多くは、歳入減を見越して歳出抑制措置をとるなど、今年一年は緊縮財政政策が続くと見られる。資本支出は、支出抑制措置の影響をまともに受けると見られるが、燃料補助金などの経常経費もまた削減の対象となるだろう。こうした調整を進めても、大幅な財政赤字が続く可能性が高い。財政赤字は、石油の純輸入国においても高い水準で推移すると見られる。

同報告は、マクロ経済政策にとどまらず、域内全体で全てのセクターの生産性拡大と持続に向けた構造改革の必要性と、雇用を創出する包摂的な構造変化のプロセスが必要であると強調している。

2015年度、世界銀行はアフリカ地域で160件以上のプロジェクトに157億ドルの新規融資を提供している。

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