男性が支払った「治療費」のローン申込書。総額は約106万円。ボーナス払い3回を含め15回払いで支払った
包茎手術で高額な施術を強引に勧められるなどのトラブルが相次いでいる。健康保険が利かない自由診療の医療機関であることを知らずに施術を受け、費用が100万円を超えることも。術前に施術内容や費用を確認することが大切だ。(朝日新聞文化くらし報道部記者・小泉浩樹)
保険適用外知らずに
関西地方の福祉関係職員の男性(40)は30代の頃、大阪市内のクリニックを訪問。医師に相談すると、「これはひどい。いますぐ手術をしないと手遅れになる」と言われた。提示された費用は100万円超。「持ち合わせがない」と言うとローン会社を紹介された。言われるままにサインし、即日手術を受けた。男性は「手遅れという言葉で頭が真っ白になった」と振り返る。
男性が施術を受けたのは、費用が全額自己負担となる自由診療のクリニックだった。男性は保険適用外のクリニックであることを知らなかった。
追加施術で膨らむ費用
厚生労働省などによると、保険が適用される医療機関で、必要な施術だけを受ければ、1万~3万円程度の費用ですんだとみられる。ただ、仮性包茎の場合、保険が適用されない。
国民生活センターなどによると、雑誌の広告やホームページで、手術費用を5万~10万円程度とする包茎クリニックは多い。だが、実際に相談に行くと、「トッピング」と呼ばれる医学的に特に必要がない追加施術を勧められ、費用が膨らむケースもある。
必要のない即日施術も
医療問題弁護団は先月26日、包茎手術に関するトラブルの無料相談を実施。53人から相談が寄せられ、費用が100万円を超えた人が15人いた。また、半数以上が即日手術をしていた。厚労省は昨年9月、美容医療について、「即日施術の必要性が医学上認められない場合には、即日施術の強要行為は厳に慎まれるべき」とする通知を出している。
相談にのった晴柀(はれまき)雄太弁護士は「施術台に乗せられた後で追加施術を勧められたケースがあった。この場合でも、追加施術が必要ないと思えば中止を求めるぐらいでないと後悔する。即日手術はせずに、きちんと考えてから手術をするべきか判断してほしい」と注意を促す。
「5万円から10万円」のはずが...
国民生活センターによると、2015年度に相談をした人(66人)が、手術のために心づもりをしていた費用は「5万円超から10万円以下」が34人で最多だった。しかし、実際にかかった額は「50万円超から100万円以下」が21人、「100万円超から150万円以下」も20人いた。
また、国民生活センターが過去に手術を受けたことがある150人にアンケートをしたところ、「即日契約・即日施術」だったと答えた人が54人いた。
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