■ 台風21号の特徴 ■
・「非常に強い」勢力で上陸のおそれ
・速度を上げるため、急に荒れ始める
・特に進路の東側で非常に風が強まる
9月2日(日)15時現在、非常に強い勢力の台風21号(チェービー)は、日本の南を暴風域を伴って北北西に進んでいます。
▼台風21号 2日(日) 15時現在
存在地域 日本の南
大きさ階級 //
強さ階級 非常に強い
移動 北北西 25 km/h
中心気圧 935 hPa
最大風速 50 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 70 m/s
台風は今後も非常に強い勢力を維持して、4日(火)頃に西日本から東日本にかなり接近し、上陸するおそれがあります。
「非常に強い」勢力で日本に上陸のおそれ
普通、低緯度地域と比べ日本付近は海面水温が低く、上陸時まで「非常に強い」勢力を保っていることは稀です。しかし、この台風21号は、本州付近に接近、上陸する段階でも「非常に強い」勢力を保っている可能性があります。
▼予報 9月4日(火) 15時
存在地域 室戸岬の南約40km(※)
強さ階級 非常に強い
移動 北 30 km/h
中心気圧 945 hPa
最大風速 45 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 60 m/s
(※半径280kmの予報円内に中心が入る確率が70%)
1993年の台風13号以降「非常に強い」勢力で日本へ上陸した例はありません。もし21号が非常に強い勢力で日本に上陸すると、25年ぶりとなります。早めに暴風雨への対策を行ってください。
台風周辺だけでなく進路の東側も警戒
3日から段々と台風周辺の暖湿気が入り、西日本太平洋側で雨が降りやすくなります。台風が接近すると見られる4日には四国や近畿、中部などで暴風に警戒が必要となり、また各地で強雨・大雨となる恐れもあります。
また、今回の台風は接近とともに速度を上げる予想となってるため、進路の右側(東側)でかなり風が強まることが予想されます。進路から離れていても油断は出来ません。
「非常に強い」勢力で上陸した最近の例が、1993年に鹿児島県に上陸した台風13号です。上陸時の最大風速は50m/sに達していました。中心に近かった鹿児島県枕崎市では、最大瞬間風速55.6m/sが観測されました。宮崎地方気象台でも最大瞬間風速57.9m/sを観測し、現在も観測史上1位の記録として残っています。今回の21号が非常に強い勢力で上陸すれば、この時以来の25年ぶりとなります。
また、その前の例が1991年に長崎県に上陸した台風19号で、こちらも上陸時の最大風速が50m/sでした。青森県内でのりんごの落下被害が甚大だったことから「りんご台風」と呼ばれることが多く、最大瞬間風速は長崎で54.3m/s、広島で58.9m/s、青森では53.9m/sを観測するなど、典型的な風台風でした。
2つの台風に共通しているのは暴風による被害の大きさです。今回の台風21号は日本列島を通過する時のスピードが比較的速いことが予想され、やはり雨以上に風の影響が懸念されます。特に「危険半円」と呼ばれる進路の東側を中心に暴風に対する備えをしっかりと行う必要がありそうです。
台風の名前
台風21号の名前「チェービー(Jebi)」は、韓国が提案した名称で、つばめ(燕)のことをさしています。
台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
(2018年9月2日ウェザーニュース「台風21号非常に強い勢力を維持し4日(火)に上陸のおそれ」より転載)