暑い時期になると奴らが活発に動き出します。黒いテカテカしたあいつ、ゴキブリです。一説には、「1匹見つけたら100匹いる」とも言われるゴキブリ。あんなものが、床下や家具の隙間に数百匹もうじゃうじゃいると想像しただけでも卒倒しそうです。
ところで、「1匹見つけたら100匹いる」という説ですが、これは本当でしょうか?
話を聞いたのは、殺虫剤メーカーのアース製薬で害虫の研究をした経験があり、ゴキブリの生態に詳しい渡辺優一さん(アース製薬・マーケティング総合企画本部)。
結論から言うと「1匹見つけたら100匹いる」というのは、あくまでも通説であって、科学的に検証したことはなく、誰が言い出したのかも不明だそうです。
とはいえ経験上、「家の中で1匹見かけたら、少なくとも数十匹~数百匹潜んでいると思って間違いない」ということです。
これにはゴキブリの生態が関係しています。
まず、ゴキブリは基本的に夜行性で、暗くて狭いところを好みます。警戒心が強く、人の気配がすると物陰に潜んで出てこないので、「見かけること自体がレア」ということです。
特に卵を抱えたメスはより警戒心が強く、めったに暗がりから出てこようとしないので、実際に見るのはほとんどがオス。オスがいればメスもいるわけで、この時点で見かけた数の2倍はいるということがわかります。
加えて、単独で生息することはなく、コロニーを作って集団生活しているため、1匹でも見つけたということは、家のどこかに隠れて潜んでいる仲間がたくさんいると思っていいわけです。
繁殖力も旺盛で、1匹のメスは1年半ほどの寿命の中で、1回につき22~28個の卵を15~20回産卵します。平均するとメス1匹が400匹以上に増えることになります。
つまり、最初に侵入したのは雌雄一対ずつだったとしても、あっという間に数百匹になってしまうということです。
特に、これから暑くなる7月~8月はゴキブリの活動がもっとも活発になる最盛期を迎えます。繁殖する前に駆除などの手を打つことで、ある程度、発生を抑えられるとのこと。1匹のゴキブリを見つけたら、駆除も本腰で取り組む覚悟が必要のようです。
(2018年7月5日ウェザーニュース「ゴキブリは「1匹見つけたら100匹いる」は本当か?」より転載)