ノンアルコールビールを置いているお店が増えました。お酒を飲めない人やドライバー、妊娠中の方への選択肢として素晴らしいことだと思います。
あるニュージーランドの研究で、ウオッカと称してノンアルコール飲料を提供するという実験がありました。結果はなんと、アルコールはまったく入っていないにも関わらず酔っているのと同じような行動が人々に見られたとのこと。
ノンアルコールビールを飲んで、実際にちょっと酔っているような感覚になった人も少なくないようです。私もそう感じます。アルコールと体の関係を学習した結果、ビールの見た目や味ですでに脳がそのように反応しているのかもしれません。
これを「騙された」ように感じる人もいるかもしれません。しかしこれは生体反応なのですから、どちらかというと「体をハックする」などの言葉に反応しがちな私としては「これで体はけっこう気が済んでしまう裏技」と捉えています。
チェコは世界でもっともビールを消費する国で、その量は一人あたり平均で日本の3倍以上。チェコに駐在する友人いわく、チェコでは食べながらビールを飲むことはまれで、まるで主食のようにただビールを飲む人が多いとのこと。
一方、日本ではビールは食中酒として好まれます。そのため、さまざまな料理の味に合うよう、切れ味よくさっぱりしたビールが主流を占めています。
ノンアルコールビールもその流れを受けて作られているのでは、と考えています。つまり、ノンアルコールビールはおいしい食事やおつまみとセットになることでより美味しくなる、と。
家に帰ってちょっと飲みたいなと思う日、ノンアルコールビールをグラスに注ぎ、少し美味しいものを用意して晩酌タイムにすると、1缶開く頃にはだいぶ気が済んでいる自分に気づきます。じつは家でほっと一息ついて空腹や喉の渇きが満たされると、お酒がなくても気分が晴れてくるものなのです。
以前旅行したブルネイはイスラム教国のため、国のどこを探してもお酒は売っていません(裏技はあるようですが...)。ないと言われると飲みたくなってしまい、あれこれ探した結果、チャイニーズマーケットで見つけたのがオランダBavariaのノンアルコールビール。晩御飯のお店に持ち込ませてもらい、大いに楽しみました。
そう、ノンアルコールビールは日本だけのものではありません。海外のさまざまなメーカーがノンアルコール製品を販売しています。
私が飲んだ中では、やや飲み口の甘いものが多く、その点日本のノンアルコールビールは日本人の好みによく合うなと思いますが、一方でそんな世界のノンアルビールを試してみるのもまた一興。通販で買えるものもあり、中には「世界のノンアルコールビール飲み比べセット」という商品も。
ノンアルコールビール、お店ではドリンクメニューの末席にちょこんと書かれているだけですが、意外なほど深い世界が広がっています。
ノンアルビールにもどうか、主役級の座を。
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