県外避難者への情報支援 一方通行の情報提供ではなく住民の自発的なつながりをサポート

原発事故の課題は、今後のエネルギー政策だけではありません。たとえば今も県外に避難されている5万人の人々に対しての情報支援。多角的に課題を捉えて頂く一助となればと思います。

復興庁による福島県各市町村の住民意向調査の第2回目が順次発表されています。第1回目から約半年の間に、少しずつ県外避難者の方々の意向に変化が見られています。

こうした省庁からの一次情報は非常に重要なのですが、一般の方にはポイントが掴みづらいため注目されずに流されてしまうことが多いです。そこで識者の方にそのポイントと、今後必要となる支援についてまとめて頂きました。寄稿者はRCF復興支援チームの藤沢さんで、同団体は福島県と包括連携協定を結び復興支援にあたっています。

原発事故の課題は、今後のエネルギー政策だけではありません。たとえば今も県外に避難されている5万人の人々に対しての情報支援。多角的に課題を捉えて頂く一助となればと思います。

県外避難者への情報支援 一方通行の情報提供ではなく住民の自発的なつながりをサポート

原発事故被災自治体における住民意向調査について、昨年度に続く2回目の結果が公表された。この調査は復興庁が福島県、市町村と共同で行っており、結果が出ているものは富岡町と浪江町の2町。現在は大熊町と双葉町も調査が進んでおり、11月には結果が公表される。

結果から読み取れるのは、昨年末から半年強の間に、住民の方々が判断を進めてきているということだ。町への帰還意向を見ると、富岡町、浪江町ともに「現時点でまだ判断がつかない」割合は減少傾向にある。また両町とも「現時点で戻らないと決めている」が6・2ポイント(富岡町)、9・9ポイント(浪江町)増加している状況だ。復興公営住宅への入居希望をみても、「現時点では判断できない」が14・1ポイント(富岡町)、12・5ポイント(浪江町)減少した。震災から3年近く経過し、いよいよ避難者が生活を決めつつあることが分かる。

住民の方々の適切な判断を促すためには、行政と住民間のコミュニケーションが重要だ。県外避難者に対しての支援では、浪江町が先行している。復興支援員を千葉、山形、新潟、埼玉、京都の5府県に配備し、個別訪問や情報提供を進めている。

こうした中で、復興庁も「県外自主避難者等への情報支援事業」を10月末から開始した。避難者の多い近隣の山形県および新潟県、および遠隔の大都市圏である北海道と大阪府において、現地で活動するNPOや社会福祉協議会に事業を委託する。ニュースレターの発行や説明会の実施などの情報提供支援、および個別相談の対応やアンケート調査などの相談支援の大きく2つの業務を行う。

情報支援において必要なのは、情報を一方通行で伝えるだけに留まらず、住民の中で伝播する仕組みをつくるかという視点だ。RCFでは釜石市や双葉町でコミュニティ支援を行ってきたが、住民向けの説明会で一方的に行政の考えを伝えるのではなく、住民自身のやりたいことを聞き出し、横からサポートする形で、住民同士のコミュニティづくりに注力してきた。

福島の避難者支援の場合、移動先の住民の中で避難者がばらばらに暮らしているため、津波被災地での支援より難易度は高い。イメージとしては、海外在住の日本人コミュニティをつくることに近い。同じ出身地と言う共通項を持つ者同士が、自発的につながり、組織化されることを目指して、支援を行う必要がある。

復興支援員も、復興庁の支援も始まったばかりだ。避難生活が長期化していく中、引き続き支援のあり方を模索していく必要がある。

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文/RCF復興支援チーム 藤沢烈

(※「東北復興新聞」2013年10月31日の記事を転載しました)

こうした問題に対して、誰が、どのように取り組むべきか。復興現場も答えを探りながら進んでいます。ぜひご意見を聞かせてください。

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