このたびハフィントンポスト日本版の編集主幹に就任しました長野智子です。よろしくお願いします。
そもそも「編集主幹」という言葉にも馴染みのなかった私・・・長年、放送業界で仕事をしてきた私にとって、インターネットはもちろんのこと、編集という仕事も未知の領域であり、この年齢になって新しい世界に戸惑っているというのが正直なところです。
私なりのユーザー視点で、ハフィントンポスト日本版がさらに皆様に愛されるニュースサイトになるよう努力していきたいと思います。
ユーザー視点でまずこだわりたいのが「ハフィントンポスト日本版ならではのお得感」です。
ハフィントンポストの日本版が昨年5月にスタートしたとき、「ユーザー同士のポジティブな意見交換」や「他にないグローバルなネットワーク」といった新しい試みに魅力を感じて、私もツイッターやフェイスブックでフォローを始めました。
私はテレビで報道番組のキャスターをしていますが、放送時間の限られたテレビ報道では、視聴率になかなか反映しない海外のニュースはどうしても取り上げられにくい傾向にあります。
視聴者の関心のあることはどうしても国内の身近なニュースになるため、シリアやアフガニスタン、パレスチナといった海外でトップニュースになる項目が日本では「数字がとれない」。結果、ドメスティックなニュースに偏る日本のテレビ報道の現状に、私自身がストレスを感じていました。
そうした中、昨年スタートしたハフィントンポスト日本版は、その成り立ちから国際性があり、グローバルな言論空間にリーチできる新しいメディアとして、とても魅力を感じたのです。
今回、編集主幹をお引き受けしたのも、私がハフィントンポスト日本版に、既存メディアにはない可能性を感じているからです。
日本のニュースについて、海外の人たちから意見コメントがくる。あるいは、アメリカ経済について自分がコメントしたことに、ウォール街で働く人から反応がきた。日本にいながら、世界中の人とニュースを共有して意見を交換できる。そんな、ハフィントンポスト日本版にしかできない新しい空間を提供できることで、ユーザーの皆さんに「ハフィントンポスト日本版ならではのお得感」を感じてほしいと思います。
さらに、ユーザー視点で求めたいのは「ハフィントンポスト日本版は何を伝えるのか」という独自性の強化です。
スタッフは私よりも若い「団塊ジュニア」世代。数年後には日本の舵取りをしていく世代が何に関心を持ち、どこに不安を感じているのか。経済成長を一時でも享受したバブル世代の私に比べ、記者のみなさんは国の経済政策のツケを真っ向から受け、就職氷河期を体験した分、経済成長一辺倒ではない生き方の多様性を見出した世代でもあります。
「様々な立場の人、とりわけ弱い立場の人の声を、社会の最前線にいる人たちに届けたい」という強い思いを持つ記者たちによる独自性に富んだ記事も、国内はもちろん、海外に発信するメッセージとして充実させていきたいと思います。
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、世界から日本への関心も高まってきます。私自身、編集主幹として世界のハフィントンポストの皆さんと連携を深め、様々な新しい試みの実現をめざして意見を交換することができたらと思います。
おかげさまで、松浦編集長、編集スタッフのみなさんも戸惑う私を温かく迎えてくださり、年明けとともに、新しいチームとして作業も始まりました。
今後ともハフィントンポストジャパンをよろしくお願いします。