昨日(米国時間8/29)、 FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグと妻のプリシラ・チャンはローマ法王フランシスコに面会した。ザッカーバーグ夫妻のイタリア訪問はペルージャ付近に大きな被害をもたらした地震の後で発表された。
ザッカーバーグはインターネット接続のない地域の人々に世界とつながる能力を与えることの重要性をローマ法王と話し合い、さらにFacebookが開発したドローンをプレゼントした。残念ながら実際に空を飛べるドローンではなかった―太陽光発電で成層圏を長期にわたって飛行するAquilaの模型だった。FacebookはAquillaを利用した無線中継で現在ネット接続が得られない地域の人々に接続を提供しようと計画している。
Aquilaの実機は翼幅が34mあり、ボーイング737旅客機よりも幅が広い。 この夏、最初のテスト飛行に成功したばかりだ。計画では連続で90日間滞空し、幅100km弱の地域にインターネット・アクセスを提供する。
自身のFacebookページへの投稿によると、ザッカーバーグは法王に対し「被災者に対する慈悲と優しさにあふれたメッセージに強く心を打たれた」と述べたということだ。また法王が宗教の違いを超えて世界の人々に語りかけていることを称賛した(法王は多くのソーシャルメディアを活用している。現フランシスコ法王は前任のベネディクト16世にならってTwitterに参加しており、この3月にはInstagramからも発信している)。)
バチカンが発表したプレスリリースによれば、法王はメッセージを世界に広める上でテクノロジーが果たす役割についてザッカーバーグと話し合ったという。
今回のイタリア訪問でザッカーバーグはマッテオ・レンツィ首相とも面会し、震災や経済、テクノロジーが新しい職を作り出す可能性などについて話し合った。またザッカーバーグはローマでタウンホール・ミーティング形式のQ&Aセッションを行い、その模様はFacebookでライブ中継された。
「人工知能が全ヨーロッパを通じて果たした役割に強い印象を受けていると私はレンツィ首相に伝えた」とザッカーバーグはFacebookに書いた。
「Facebookの人工知能提携計画の一環として、最新の高性能GPUサーバー26台 を〔イタリアの〕モデナ・レッジョ・エミリア大学を含めヨーロッパ全土の研究組織に提供した」とザッカーバーグは述べている。
ヨーロッパの9ヶ国の15の研究機関がこのコンピューターの提供を受けた。これはFAIR (Facebook AI Research)と同等製品で、最高クラスのGPUボード8枚を装備している。コンピュータービジョン、機械学習システム、ディープ・ニューラルネットワークなどの開発で研究機関を助けるのが目的だ。
法王との会見も重要な出来事だったが、いっそう興味深かかったのは、ザッカーバーグが被災地を訪れたことだ。通常の場合、災害の見舞いや激励は政治家の仕事と考えられている。被災地訪問は今回の旅行の最大の目的ではなかったかもしれないが、世界経済におけるFacebookの重要性が向上していることを示すものだろう。またネット接続のない地域に接続をもたらす上でFacebookがカギとなる役割を果たしそうだということも確認された。
今年初め、ザッカーバーグは中国を訪れ、中国共産党の常務委員でありプロパガンダ責任者の劉雲山と会っている。ザッカーバーグは中国のインターネットの発展と将来Facebookが果たし得る役割について議論したものと見られている。2009年以降、中国のインターネット利用者は7億2000万人以上に増えたが、Facebookは同国で依然ブロックされたままだ。
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(翻訳:滑川海彦@FacebookGoogle+)
(2016年8月30日TechCrunch Japan「マーク・ザッカーバーグ、ローマ法王に面会―インターネット接続ドローンの模型を手渡す」より転載)
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