テクノロジー業界が性別、人種、民族や年齢において多様性を欠いているということは周知の事実だ。主要なテック業界の公開しているデータによると全従業員における女性の占める割合は25から45%でしかない。
この格差は技術系の職種になるとさらに悪化する。Anita Borg Instituteの実施したTop Companies for Women Technologistsの調査によると、過去の5年間に渡り、技術系における女性の占める割合は21%のまま全く動いていない。
他の、人口構成比的に少数のグループに関しても結果は似たり寄ったりである。テクノロジー企業において、ヒスパニックの雇用は最高で11%であり、黒人に至ってはたったの2から8%だ。先ほど同様、技術職では、数値はさらに低下する。テック業界公表の雇用の多様性に関するデータによると、ヒスパニックでは2から8%、黒人では1から7%にもなる。
女性はテック業界においては、マーケティング、人事、会計や他の部門で多くの役割を果たしている。それ自体は良い傾向であるが、この業界の性格差を埋めるまでには至らない。なぜか。それはほとんどすべての企業において、最も雇用が増えているのが技術職だからだ。もし我々が今、女性が技術職を志向することに二の足を踏ませ続けるのであれば、この格差は今後どんどん開いて行くだろう。
2016年の今、全ての会社がテック企業だ
今日では、全ての会社がテクノロジー企業であり、全ての産業が生産性と革新性の向上をテクノロジーに依存している。金融機関、小売り業、メディアは技術者の採用を増やしており、多業種に渡って、非技術系の部門、例えばマーケティング、人事や会計などもどんどん専門の技術者への依存度を高めている。
テクノロジーのあらゆるビジネス領域への拡散はとどまる兆しを見せず、企業や機関の技術部門では、多様で才能あふれる人材をリクルートし、雇用、昇進させることが大変重要な意味を持つ。
また、単なる事実として、技術職は他のポジションに比べて、条件が良く給料が高い。より多くの女性および社会的に比率の低いグループの人々を技術職につけることが今ある格差を埋める上での鍵となる。
技術職における男女間の格差
なぜ技術系の従業員が特に重要なのだろうか。その点を説明するため、シリコンバレーにおいて著名なテック企業であるインテルに目を向けてみよう。インテルは今年度初旬に多様性とその受け入れに関する年次報告を公表した。
インテルのアメリカ内の技術系従業員中で女性の占める割合はたったの20.1%だ。背景を説明するなら、インテルのアメリカにおける従業員のうち、何と86%が技術職である。
女性技術者をリクルートし、雇用、昇進させることは単に正しいだけでなく賢い選択だ。
インテルにおいては新規雇用の大半が技術職なので、同社はまず、技術職の均等雇用に取り組まねばならない。もしインテルの技術系従業員の男女比が同等であったなら、会社全体における性格差は今日存在しないだろう。
企業が特に技術職において雇用の多様化に取り組まない限り、組織全体に渡る男女の均等雇用などは夢物語に終わるだろう。
女性の昇進には過大な要求が立ちはだかる
女性はテクノロジーの分野で職を得るのが容易ではないが、昇進にはさらなる困難が待ち受ける。女性が上級職に昇進するためのハードルは男性の場合よりずっと高く設定されており、さらには女性は数学や科学が苦手だという考えが根強く浸透している。
その証拠に、Sequoia Capitalの投資家であるMichael Moritzのコメントを紹介しよう。この男性の意見では、もしテック業界にもっと才能のある女性がいるのであれば、そう言った人材はもう雇用されているだろうし、自分的には職場の多様性の確保だけを目的に採用基準を下げるつもりはない、ということだ。しかし、そのような採用基準とは一体なんだろうか。
テックに職を求める女性はコンピュータ科学や工学の学位を持っているが、どうやらこの基準はこの男性には当てはまらないようだ。というのも、彼が持っているのは歴史の学位だったからだ。
この様な女性に対する一般的態度と、その結果テック業界で働く女性がいないことは大変嘆かわしいことだ。しかし、この様な問題があっても、女性のビジネスや社会における進出は目覚ましいものがあり、その指導力は着実に高まっている。例えば、今年度のインテルのScience Talent Searchでは、最終選考に残った半分以上、さらには受賞者3人中2人が女性だった。
世界の知的資本の半分は女性であり、女性の参加により経済成長は飛躍的に増大することが可能だ。この事実を無視することは企業にとって損失だ。
現代のようなペースの速い、過当競争下のグローバル市場で成功するには、企業は継続的に変革を続けなければならない。そして、多様性ほど変革を促進するものはない。女性の技術者をリクルートし、雇用、昇進させることは単に正しいだけでなく、賢明な選択なのだ。
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(翻訳:Tsubouchi)
(2016年6月25日TechCrunch Japan「職場にもっと多様性を、まずは技術職から」より転載)
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