シリア難民受け入れ、ネットからできる支援先をまとめました。

緊急事態下にも関わらず、経済成長の「要員」として人口を捉えている安倍首相。せめてもっとできることがあるはずです。

シリア難民の波がスウェーデンにも来ています。先日も地方都市ヨンショーピンから電車で帰ってくるときに、中央駅で多くの警察官、赤十字、支援団体が駅で待っているところに遭遇しました。

各国の受け入れ数 日本は?

2015年8月末時点では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が把握しているだけでも408万9千人がシリアの紛争によって国外へ逃れています。その数はおよそシリアの人口の半数。

9割は周辺国へ逃れ、その6%の34万人がヨーロッパ諸国へたどり着きました。2011年4月~2015年7月末までに、ドイツ9万8千人、スウェーデン6万4千人、オーストリア1万8千人、イギリス7千人へとの難民がたどり着き、そのほとんどが難民認定をされ保護をされています。さらに地理的に遠い、アメリカ、カナダで1万人ずつ、オーストラリアが5000人の受け入れを表明しており28ヶ国が合計10万人以上の受け入れを表明しているといのことです。

一方で日本ではこれまで受け入れたシリア難民はわずか3人です。先日の朝日の記事ではこうありました。

政府関係者によると、受け入れの対象として検討しているのは、内戦や過激派組織「イスラム国(IS)」の台頭による戦火を逃れて、シリア国内のほか、トルコやレバノンなど周辺国に避難して学習機会を奪われている若者ら。受け入れ人数は数十人程度とみられ、規模は限定的だが、若い世代の人材育成に貢献できると判断した。

日本は、難民認定基準が主要国と比べて厳しいとされる。これまでに日本で難民申請をしたシリア人約60人のうち、難民認定したのは3人にとどまる。政府は基準の緩和は当面行わない方針だ。

朝日新聞 DIGITAL  シリア難民の若者「留学生で」 政府が限定受け入れ検討

これまで3人しか受け入れていないのもそうですが、「留学生」として限定的に受け入れる人数も「数十人」程度なのです。

その後、安部首相は、国連総会の一般討論演説で、約8億1000万ドル(約972億円)の経済支援をシリア・イラク難民に拠出する方針を示しました。これに対して難民支援協会は、受け入れについての言及がなかったことを指摘しつつも、資金拠出を歓迎しています。

その後の記者会見でのロイターの質問に対するやりとりが物議を醸しております。

そして、今回の難民に対する対応の問題であります。これはまさに国際社会で連携して取り組まなければいけない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々はいわば移民を受け入れるよりも前にやるべきことがあり、それは女性の活躍であり、あるいは高齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。同時にこの難民の問題については、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えておりまして、それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております。

首相官邸 内外記者会見 

このコメントがロイターガーディアンなどの欧米メディアにフルボッコされています。

要は、欧米諸国並みに日本は社会インフラが整っている高所得な国なのに、人命に関わる難民問題の受け入れとなると、国内問題を優先して難民受け入れを棚上げすることを非難しています。

しかも、首相のこのコメントが問題なのは、難民問題を人口問題に置き換えて、難民を労働力としての「移民」として、しかみていないということです。つまり主語が日本であり、日本の経済成長が基礎にあり、そのうち生産人口が今後人口減少社会において急減するので、その労働力として、これまで「労働力」となり得なかった「女性」に「活躍」してもらうと話しだしているのです。難民の質問なのに。

経済成長の「要員」として人口を捉えいるので、難民ですらも人材育成という文脈で「留学生」として受け入れるということになるのです。所謂、ヒューマン・キャピタルセオリー(人的資本理論)的な眼差しで難民すらも扱っているのです。緊急事態下にも関わらず。

何万とはいわないでも、せめてもっとできることがあるはずです。

全国難民弁護団連絡会議代表の渡邊弁護士は、70年以降ベトナム・ラオス・カンボジアなどで発生した累計1万人におよぶインドシナ難民を、年間1200人単位で受け入れてきたことに触れて、

「日本は1981年の1年間で1200人のインドシナ難民を受け入れている。日本がシリア難民を年間1000人単位で受け入れても、全く不思議ではない。政治家がそう決意して、市民社会に訴えれば、受け入れは可能だ」

「日本はシリア難民を年間1000人受け入れることができる」難民問題の専門家が会見

と述べており、まだまだ支援策を練ることは可能です。

ということで、いてもたってもいられない人のために、以下に支援方法をまとめました。

現時点では日本は、受け入れ数も限定的で、欧州のように実際に難民がすでに到着しているわけではありません。ですので日本国内にいて各々ができることは、政府にアドボカシーをすることと、国際的な難民支援団体を支援することくらいなので、今回はネットを通じて直接寄付ができる団体を紹介するにとどめます。

支援を受け入れている国際NGO


難民のために人道支援を行っている国際NGOは少なくありません。Googleもパートナー団体を紹介していますが、以下に支援できる団体をリストアップします。

まずはアムネスティインターナショナルのこちらのフォームからウェブ署名活動に参加しましょう。1分でできますよ。アドボカシーは無料で、しかし人数が集まればしっかり勧告ができるはずなので、署名をしたらこれを広げていきましょう。

各国のセーブ・ザ・チルドレンに直接寄付することが可能です。英語圏在住者はこちら、日本ならこちらから。(クレジットカード、Tポイントでも募金できます)

スウェーデン在住者はこちらから。

英語圏在住者はこちらから。日本の赤十字の中東人道危機救援金の寄付はこちらから。スウェーデン在住者はこちらから。

地中海を渡る難民の溺死を阻止するためにできたNGO。これまで11,680人を救ってきたようです。ページは英語のみですが、こちらから支援できます。

寄付はこちらから。

海外在住者(英語)はこちらから。日本国内からの寄付はこちらから。スウェーデン在住者はこちらから。

海外在住者(英語)はこちら。日本国内からの寄付はこちらから。

ハフィントンポストでも日本のシリア難民の受け入れを呼びかかている、難民支援協会からももちろんできます。日本国内在住者はこちらへ支援するのが良さそうです。

寄付はこちらからできます。

同じ著者の記事

注目記事