(※この記事は、2013年6月3日の「 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載しました)
アフリカの首脳を集めて横浜でTICADが開催されている。
しかし、その一方で、コンゴ民主共和国で進められていた地デジの日本方式導入がヨーロッパ方式に屈してしまった。
もともとコンゴでは、日本方式が有利だと思われていた。昨年夏には、日本方式をテストするための億円単位の機材が日本大使館に持ち込まれていた。
しかし、テストをする機会を得る前に日本方式は頓挫した。
失敗の本質は総務省があるコンゴ人を顧問として採用したことにあるようだ。
どうもこの顧問が、正規のルートでの交渉ではなく、裏ルート、おそらくは部族等のコネを利用した人間関係でやろうとしたようだ。
そして総務省がそれに全面的に乗っかった。
外務省では、担当者がどうもおかしいと首をひねっていたが、課長補佐にあたる首席事務官のところでその疑問は握りつぶされてしまった。
そして十二月の政権交代後、コンゴ側から、正規のルートでの交渉に日本もきちんと参加してほしいというお願いが出されている。
今年に入り、地デジを担当する大臣が主催する会議が開かれたが、日本政府に対して、招待状が出されていたにもかかわらず、総務省はそれを無視。参加しなかった。
総務省は問題を認識せず、外務省は握りつぶし、両省とも政務三役にコンゴの地デジに関して報告を挙げていなかった。
ことここに至って、コンゴ民主共和国側から、日本政府はこのままでよいのかという問い合わせが、個人的に入ってきた。
調べてみると、総務省のコンゴ人顧問は、依然として「別ルート」での交渉にこだわり、総務省は、交渉は順調だと報告し続ける。
コンゴ側から入手した文書によれば、地デジの導入に関するかなり重要な会議を、日本は平然とすっぽかしている。
柴山総務副大臣に出馬願い、省内で事情聴取をしてもらうと、総務省はコンゴ政府からのフランス語の手紙をほとんど誤訳といってよいほど意訳してもってくる。
主管大臣の主催する会議に出席しなくても、大統領に近しいところから直接コンタクトをしているので大丈夫だという総務省の説明があるが、それを聞いたコンゴ側は激怒する。
日本政府は、コンゴ民主共和国政府の運営を馬鹿にしているのか、我々の行政プロセスを無視して、コンゴ政府に物事を決めさせられるほど、日本政府はえらいのか。
柴山副大臣の努力で、本来の主管大臣にきちんとコンタクトし、本来のプロセスにきちんと乗るようにかじを切った。しかし、時すでに遅し。
有利と言われた日本方式ではなく、ヨーロッパ方式を選択する政府の決定が行われた。
それでもまだ、副大臣あきらめず、再度の交渉をお願い中だ。
場合によってはコンゴを二分して、日本方式とヨーロッパ方式をそれぞれ試すことも視野に入れている。
アフリカも中近東も大きなプロジェクトがどんどん始まっている。しかし、なかなか日本企業がそれに参加できていないのも現実だ。
外国との付き合いは、ODAを出せばよいというものではない。きちんと相手を尊重し、信頼関係の下で様々な外交も実ってくる。
相手とのコミュニケーションも取れないような状況で援助をいくら出してもそれは死に金でしかない。
(※この記事は、2013年6月3日の「 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載しました)