ハフィントンポスト日本版をご覧の皆様、こんにちは。木村拓哉です。
みなさんはどのように英語を勉強していますか?
独学で勉強をする人、学校で勉強をする人、やり方はさまざまだと思います。僕は高校2年のときから独学で英語の勉強をしていますが、はじめのころは「どんな勉強法を実践すればいいのだろう」と、人のブログを漁ったりしてました。
正直、英語の勉強はすごく大変でした。たくさん失敗もしました。
それが今では日常的に英語を使う環境にいて、大抵のドラマ・映画は字幕なしで見れます。取材なんかも英語で行えるようになりました。
英語に正解の勉強法などないのかもしれません。ですが参考のため、今日は僕が実践した勉強法を紹介してみたいと思います。
もちろん、僕もネイティブスピーカー並みの英語力というわけではないですし、プロでもありません。ただ、フルマラソンをなんとか走り切ったランナーが、これから始めるランニング初心者に向けて書いたようなものとして読んでいただければと思います。
英語の学習は昔から、「インプットとアウトプットが重要」だと言われます。これからご紹介するのは、その「インプットとアウトプット」が同時にできてしまう、僕が実践した勉強法です。
インプット
人間とラジカセは同じです。何も入れなければ、なにも発することはできません。
そこで僕は、英語の単語、表現方法をインプットしていくために「海外ドラマ」を利用しました。月並みな勉強法かもしれませんが、いろいろ試したうえで、やっぱりこれがベストだと感じました。
この海外ドラマはなんでも自分が好きなものを選んでいただいてかまいません。ただ、それを選ぶ際に重要な3つのポイントがあります。
- 自分が面白いと感じるもの。
- 日常的なシチュエーションが題材になっているもの。
- すでにある程度の人気があるもの。
まず初めに、「自分が面白いと感じるもの」を選ぶことが重要です。どれだけ英語を勉強するモチベーションが高くても、そのドラマが面白くなければ、寝落ちしてしまいます。(笑)
次のポイントは「日常的なシチュエーションが題材になっているもの」を選ぶということ。そうすることで、海外で日常的に使える英語表現をたくさん学ぶことができます。
イギリスのドラマ「Doctor Who」は僕が愛してやまない海外ドラマの一つです。このドラマは、「Doctor」と呼ばれる人間の恰好をした宇宙人が、平凡な地球人と一緒にタイムトラベルに出かけるというSFストーリーです。
ただ、このドラマはいくら面白いとはいっても、英語の勉強には適してないかもしれません。残念ながら今のところ、宇宙人と一緒に旅をするときに英語を使う人は少ないですよね。たぶん。
(僕の夢ですけども。)
最後の、「ある程度すでに人気がある」ドラマを選ぶというのも重要なポイントです。これについては後ほど詳しく説明します。
さて、この3つの条件を満たす、僕が選んだドラマとは何だったのでしょうか。
それはアメリカの海外ドラマ「Friends」でした。
英語の勉強において最強のドラマ「Friends」
Photo from Friends Facebook Page
「Friends」とは、社会にでてもなかなか大人になれない登場人物たちの恋愛・友情を題材にしたコメディドラマです。僕にとって「ルームシェア」という概念を教えてくれたのもこのドラマでした。
僕にとってこのドラマは何回見ても面白いと思えるドラマですし、その題材も日常的なシチュエーション。およそ10年にわたって放送された世界中で愛されているドラマです。
なのでこのドラマは僕の勉強にぴったりなドラマだったというわけです。
では、実際にこのドラマを使った具体的な勉強法を紹介したいと思います。僕の場合、このドラマの各エピソードを5回みました。ただ、単純にドラマを楽しんでたわけではもちろんなくて、それぞれの回ごとに違う見方をしていました。
- まずは日本語字幕でドラマを楽しむ。ストーリーを理解する。
- 次に、英語の字幕でみる。わからない単語・表現が出てきたら、そのたびに止めてノートに書き写して、調べる。
- 一通り分からない単語を調べたら、もう一度英語の字幕でみてみる。この時には、英語字幕でもストーリがわかっているはず。
- 登場人物になりきる
- 字幕なしでみる
このようにして、使える英単語・表現方法というのをできるだけ頭にインプットしていきました。
さて、この4番の「登場人物になりきる」という点が、この勉強法の肝になります。
アウトプット = 「なりきり」
この「なりきり」の部分こそが、この勉強法の肝であるアウトプットの部分になります。その点について、すこし詳しく説明したいと思います。
「Friends」にはメインの登場人物が6人います。男性はチャンドラー、ロス、ジョーイの3人。女性もレイチェル、モニカ、フィービーの3人です。
3つ目のステップまでで、分からない表現などを調べたあと、この登場人物の中の誰かになりきって、その人物が話すのと同時に話してみるんです。
僕の場合男性ですから、男性の登場人物の中から、その回で一番多く話してるキャラクターをえらびます。そして、その人物になりきって喋っていました。例えばチャンドラーになりきる場合、ロスがチャンドラーに話しかけたあとに、自分が彼になりきって話すという具合です。
そうすることによって、ノートの上で学んだことを、発音、話すペース、ストレスを加えるところも全部ふくめて学び直すことができます。
それと、さきほど「すでにある程度人気があるもの」というポイントをあげましたが、それはこの「なりきりパート」に関わってきます。
ある程度人気があるドラマだと、ネット上にトランスクリプトというドラマの台本が掲載されているのです。
もちろん字幕だけでもこの「なりきり」はできますが、字幕が出てくるタイミングが遅かったりするときもあるので、僕はこのトランスクリプトを使っていました。
"リアルで使ってみる"という重要性
もちろん、このなりきりだけでは決まったシナリオの上でのアウトプットだけなので、十分ではありません。しかし、この方法で学んだ表現はすでにあなたの中に刷り込まれているはずです。
なので、この勉強とは別に英語を話すチャンスをみつけて、学んだ表現を試してみるというのが重要です。
僕の場合、そのようにドラマで学んだ表現の中でも、リアルの場面で使うことができた表現というのは、今でも頭の中に残っているものなのです。
1つの例として、ドラマの中に出てくる「Hello, people who do not live here!」というセリフがあります。これはモニカが帰宅した時に、家の中でまるで自分の家であるかのようにくつろいでいた5人に向かって、皮肉っぽく発したセリフです。
アメリカの大学に留学していた時、これと似たような状況がありました。
ルームメートのPeterはとてもゲームが大好きだったので、よく僕らの部屋に友達を呼んでゲームをしていました。その日も、僕が授業で疲れて部屋に帰ってきたとき、4人くらいの友達が部屋でゲームをしていたのです。そこで、さきほどの「Hello, people who do not live here!」という言葉が口から出てきました。
その時は、使おうと思って話したわけではありませんでした。何度もドラマを見ているうちに頭の中に刷り込まれていたので、自然に出てきた感じでした。
ドラマを使った勉強に加えて、こういうリアルな体験があると、3年たった今でもこうして記事にできるくらい鮮明に覚えているんですね。
これが僕が実践した勉強法です。
この「Friends」、全シーズンあわせて236話もの長さになります。1話がだいたい30分ほどですから、全部で7080分。それぞれの話も決して重複することがないので、236通りのシチュエーションの英語表現を学べるんです。
僕はこれだけで、アメリカの大学で授業を受けて、生きて帰ってくることができました。今もこうして元気にカナダで暮らしてます。
昔のドラマですから、安くDVDも手に入ります。ぜひ皆さんも試してみてください。
(2016年2月6日「CanadaLifeMagazine」から転載)