新国立競技場の建設コンペをめぐる議論について (4)

ブログ書いているうちに事態がどんどん進展してしまって大変です。ザハの新国立競技場案について、総工費の試算が3000億円に達するとして、周辺施設を中心に規模を縮小する方針を明らかにした。そうです。

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新国立競技場「工費が膨大」...デザインは生かす :

五輪 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ということで下村五輪相は23日の参院予算委員会で、

ザハの新国立競技場案について、

総工費の試算が3000億円に達するとして、

周辺施設を中心に規模を縮小する方針を明らかにした。

そうです。

これもどうなのか、、

施設規模を縮小となって問題は解決されるんでしょうかねえ。

現時点での問題点はおそらく以下のような感じなんだと思います。

1.1300億円の予算組んでたけど、ザハの案を試算したら3000億円みたい。

2.国際大会や日本選手権など全国規模の大会を開ける「1種」の条件に、全天候舗装された400メートルトラックの併設が不可能

3.周辺環境の中でデカ過ぎる、景観をおかしくする。

ということで、

「デザインそのものは生かす。競技場は国際オリンピック委員会(IOC)の基準に合わせるが、周辺は縮小する」とのコメントがなされたそうなんです。

ふ~ん、なるほど。

上記のパースを見る限りにおいても、この軟体動物みたいな競技施設はまあデカ過ぎるわな。

というのが常識的見解でしょうねえ。

ちなみに、下の写真はザハがアゼルバイジャンという国で仕事したときの

・・・

超巨大イカです。

・・・

ちょうど下こしらえ中でダイオウイカのゲソを外したところですね。

周りが新興住宅地みたいなところなので、イカもありとしたんですかねえ。

ザハとはいえ、それでも初期のころにはあったある種の哲学的テーマ「脱構築」とか、現代社会を象徴するような行き交う情報のハイウェイの断片化みたいなアートとしての普遍性。

そんなものも消え失せて、都市にモンスターを出現させようとしています。

これさあ、アゼルバイジャンとなんーっの関係もねえから

アゼルバイジャンといえば数年前でしたか、首都のバクーで内戦みたいなことがありました。

日本であまり報道されないし、旧ソ連だったこともあって、

砂漠?未開の荒れ地?だから巨大イカのアトラクションあり?

とんでもありません。アセルバイジャンは1000年以上前からカフカス王国とかあってカスピ海に面した美しい国ですよ。

ま、工事の人は大変だったでしょうね。

この無国籍で根無し草のCG建築にどんな価値があるのか

正直わかりません。

建たないころのザハの方が100倍かっこよかった。

建てれるようになったらイカだった。

強いて似ているものをあげれば、

エヴァに登場した第4使徒の「シャムシエル」ですかね。

そういった意味ではグローバル化していく現代社会の不安感

都市を破壊しにくる謎の災害を象徴するものではあると思います。

もし、イスラム圏出身ということで選ばれたとしたら、

とんだザハの恩返しと思うんですが、いかがでしょうか。

まあ、ザハがイラク出身だからといって、

ムスリムであるとは限らないんですがね。

なんで、こうなってしまったんでしょう。

この見解が成される前に、 「濃密な歴史を持つ風致地区になぜこのような巨大な施設をつくらなければならないのか」──。建築家の槇文彦氏が日本建築家協会(JIA)の会報「JIA MAGAZINE 295号(8月号)」に寄稿した文章を契機としてシンポジウムも開かれています。

このシンポジウムには下記の方々も賛同されております。

発起人(あいうえお順):五十嵐太郎、伊東豊雄、乾久美子、宇野求、大野秀敏、

北山恒、隈研吾、栗生明、小島一浩、小林正美、佐々木龍郎、陣内秀信、

曽我部昌史、高見公雄、多羅尾直子、塚本由晴、富永譲、中沢新一、中村勉、

南條洋雄、西田司、波部玲子、日色真帆、藤村龍至、古市徹雄、古谷誠章、

堀啓二、松永安光、三井所清典、元倉眞琴、門内輝行、山本圭介、山本理顕、

吉村靖孝

現在の日本の建築界のレギュラー陣が顔をそろえておりますね。

元々の応募要項の解説ページがありました。

そして、元々は2016年に東京オリンピックを誘致しようという計画があり、

そのときのメイン競技場は安藤忠雄さんが設計されていたようです。

2016年誘致というのもやっていたのか、、安藤さん設計のもので。

こちらの方はちょっと話題になっていたのかいなかったのか、

候補を外れてしまったためなのか、わたくしもよく知りませんでした。

いろいろと現在進行形の情報や過去の資料などもあたっておりましたが、

ふと、気づいたことがあります。

そもそも、現国立競技場がそんなにダメなのか、

同時に現国立競技場を活かすって話はないのか、

です。

今回、新国立競技場のザハの案が、いいの悪いの、デカいの機能が劣るだの、

大騒ぎになってきているのですが、

私が今回疑問に思っていることは

元々の今の競技場が、ハナっからダメ、検討の余地なし、どうしようもない、って

いつのまにか決まっているようなのですが、

そこのところが本当に公然と議論されているのかどうなのか、

そこを知りたいってことなんです。

しかも、オリンピックプールは丹下健三氏設計ということで巷にも有名ですが、

現国立競技場はいったい誰が設計したの?っていう情報が出てこない。

私は現国立競技場もなかなかの設計だと思っているんですね、子供のころから。

と、いいますのも現国立競技場は昭和30~40年代世代には、

キングジョーVSウルトラセブンの京都国際会議場同様にすごく有名なんです。

なぜなら、現国立競技場は初代ウルトラマンでアボラスとバニラが戦った場所だからです。

この国立競技場を背景にしたウルトラマン第19話「悪魔はふたたび」における

アボラス対バニラは、円谷英二さんが特撮を指揮したという伝説的なバトルシーンです。

そのような、ウルトラの聖地を案外さらりと取り壊すことに同意していることが

そもそも解せないんです。

建設官僚や都の役人の現時点での中心人物であろう50代の方々なら、

絶対覚えているはずなんです、アボラス対バニラは。

これ、もったいなくないですか?

五輪の開催イベントで使えるネタですよ。

と、わたくしの趣味を除いても、現国立競技場の設計者のことは記憶しておくべき名前です。

その人とは片山光生です。

そして角田栄です。

両者ともに建設省の官僚であり建築家、ガバメントアーキテクトなんです。

私からの提案は、現国立競技場を活かそうよ。

たとえば「CO2削減オリンピック」、「もったいないオリンピック」でいいじゃない。

「ウルトラオリンピック」でもいいよ、ってことなんです。

で、その分福島原発の収束や東北の復興に使おうよ。

だって地球の平和を守るウルトラマンオリンピックなんじゃん。

先日亡くなってしまいましたがやなせたかし先生の魂を引き継いで

アンパンマンオリンピックにしようよ

僕ら昭和40年世代はですね、子供のころから繰り返し繰り返し

「悪の組織から地球を守れ、地球を守れ、みんなの平和のために!」

って刷り込まれまくっているんですよ!

なんの因果かわからないけど、建築家になってしまったんだけど。

やっぱ地球を、みんなの平和を守りたいんだよ、心のどこかで俺らは。

どっかの金融家の賞をもらいたいために勉強してきたわけじぇねえんだよ!元々。

実は政府は、競技場を耐震補強や大規模改修した場合の試算もおこなっているんですよ。

建て替えに近い700億円程度かかることが判明した。

日本スポーツ振興センターが2010年度、久米設計に委託した調査です。

はあ?建て替えの半分以下じゃん。

誰が建て替えに近いとかコメントしてんだよ!

ザハの4分の1じゃん。

続けまくります。

(2013年10月25日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)

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