ネット・ユーザーからの非難で、どうやらwelqが全記事非公開化した模様です。
これで一件落着?
そうではないと思います。これは、群衆による凶暴で残忍な反撃の、はじまりに過ぎないのです。
グーグルやフェイスブックのショボいアルゴリズムでは、乗せらせやすいアホなユーザーが、「シェア」や「いいね」した記事ほど露出する仕組みになっています。
これを逆手にとったネットメディア戦略のひとつが「炎上商法」です。
FBやグーグルの、ショボ・アルゴのツボさえおさえれば、面白いようにPVを取れる......そういう「ハック」にあぐらをかいた商法は、ネットじゅうに蔓延しています。
そういうMarket Hack自体、PVをUPするために記事タイトルを工夫するなどの努力は怠っていません。
いや、そうしなくては、「ノイズの大海」のようなネットの世界では、情報の洪水に溺れてしまうのです。
しかし......
いまSNSでは革命が起ころうとしている(笑)
その事実に早く気づき、経営の軌道修正をしなければ、ネット企業も、その上で踊る「ネット界の高僧」たちも、足元をすくわれるでしょう。
いまやFacebookやGoogleは、勝ち組たちの象徴です。支配階級(ruling class)と言っても、過言ではありません。
しかしちょうど19世紀に英国の織物工業地帯に広がったラッダイト(機械うちこわし)運動のように、機械によって疎外化された庶民は、ネットやSNSそのものが、格差の加速器であり、自分たちの敵であることに気がつき始めているのです。
シリコンバレーでは経営者の必読書と言われている『Technological Revolutions and Financial Capital』という本の中に、次のような図が出てきます。
縦軸はテクノロジーの普及、横軸は時間の経過を指します。
インターネットは、2000年の暴落を経て、黄金時代を迎えました。それが、去年までです。
しかし......
2016年は、テクノロジーが必然的に社会にもたらす分断、断絶、絶望、恨み......そういうものが噴出した年になりました。
米国の大統領選挙がその好例です。
つまり「テクノロジーは、社会を変える」、そしてその当然の帰結として、変わってしまった社会に対して「こんな社会は、嫌だ!」とか「こんなことなら、新しいテクノロジーなどいらない!」という不満がムクムクと湧き上がっているわけです。
今回のwelqに対する社会の批判は、同社だけに向けられたものではありません。ネット企業全体が「悪役キャラ」化する局面は、もう到来しているのです。
(2016年11月29日「Market Hack」より転載)