先日、ロシア内務省職員11万人のレイオフが発表されました。このニュースに接して(ロシアの景気って、そんなに悪かったの?)と思った方も多いと思います。
ロシアの不景気はウクライナ紛争と、それに絡んだEUをはじめとする各国のロシアに対する経済制裁が引き金となっています。
そこでウクライナ紛争のタイムラインを整理すると、まず2013年12月にウクライナの首都キエフに学生を中心とするデモ隊が繰り出し、独立記念広場を占拠しました。
そして2014年2月に警察隊とデモ隊が衝突し、100名近くが死んで、ヤヌコビッチ大統領は慌ててロシアへ亡命します。
ロシアは戦略的に重要で、ロシア系住民が多く住んでいるクリミア半島に軍隊を派遣し、これを占領します。そして3月のクリミアの住民投票でクリミアのロシア編入が決まります。
その後、ロシアに支援されたウクライナ反政府軍とウクライナ国軍との交戦はウクライナ東部のドネツク、ルハンスクなどの都市に舞台を移します。
2014年7月17日、アムステルダム発マレーシア航空MH17便がウクライナ反政府軍の誤射により撃墜されます。これを機にEUはロシアに対する経済制裁を決めます。
2015年2月にEU、ロシアなどを巻き込んだ多国間交渉で停戦が決まります。
以上が大まかな流れです。
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経済制裁でロシアの原油の輸出は2014年第4四半期あたりから急減します。
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ロシアは外貨の獲得を原油や天然ガスの輸出に依存しているため、それらの輸出代金の急減は、いわゆるBalance of payment crisis、つまり収支バランスが崩れてルーブルが急落するリスクを招きます。
通貨安は輸入品の急騰を招きます。折からの経済制裁の影響もあってロシアのインフレは、あっと言う間に二桁台に乗せました。
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ロシア中銀は通貨を防衛するため政策金利を引き締めます。
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それは景気の勢いを殺ぐ処方です。ロシアの小売売上高は急減しました。
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また消費者ローンの延滞も増えています。
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こうした流れを受けてロシアのGDP成長率はマイナスになっています。
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ロシアは2003年から始まったBRICsブームの際、コモディティ輸出で外貨準備を積み上げたので、今でもその貯金が沢山残っています。だから1998年に起きたようなデフォルト騒ぎに発展するリスクは低いです。ただ経済が長期に渡って低迷するとプーチン大統領の人気が低下する可能性もあると思います。
(2015年7月27日「Market Hack」より転載)