ヒラリー・クリントンの副大統領候補にウォール街の天敵、エリザベス・ウォーレンという線が浮上

ウォーレンが副大統領候補になれば、トランプに対する「刺客」の役割はウォーレンが担うことになるでしょう。

民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンが、副大統領候補にマサチューセッツ州上院議員エリザベス・ウォーレンを選ぶことを検討中だとウォールストリート・ジャーナルが報じています。

エリザベス・ウォーレンって、どんな女性?

それを説明するために、僕がJPモルガンに勤めていた頃の話をします。

正直言ってウォール街の経営トップは「政治家はみんな阿呆だ」と馬鹿にしているんですね(笑)

でもその中で一人だけ、名前を口にしただけでバンカー達の表情が曇り、それがディナーの席だとすると、とたんに料理が不味くなる......そんな手強い相手が居ます。

それがエリザベス・ウォーレンです。

彼女はハーバード大学で消費者保護関連の法律を教える大学教授でした。そして「クレジットカード金利が高すぎる!」というキャンペーンを張りました。

兎に角、クレジットカードの仕組みのウラの裏まで知り尽くしており、突かれては困るポイントを、ぐいぐい突いてくる、獰猛な活動家です。

エリザベス・ウォーレンは大学教授だっただけあって、難解な問題でも明快に説明する才能を持っています。

またヒラリー・クリントンが不得意な、大衆と瞬時に「つながる」才能にも長けています。

ウォーレンは、若者、とりわけ学生からたいへん慕われ、かつ尊敬されています。

彼女はどちらかといえばポピュリスト的だけど、サンダースのような「お花畑ポピュリスト」ではなく、筋金入りの消費者運動家という立場からポピュリスト色を出しているのです。

またウォーレンは毒舌家で、トランプの事もクソミソにコケにしています。下はトランプを八つ裂きにしているウォーレンのスピーチです。

ウォーレンが副大統領候補になれば、トランプに対する「刺客」の役割はウォーレンが担うことになるでしょう。

ただヒラリーはウォーレンを副大統領候補に指名することを躊躇するかも知れません。なぜなら同じステージに立てば、実はヒラリーよりウォーレンの方がポピュラーだということがバレてしまうからです。

一方、ウォール街にしてみれば、これはとんでもな「斜め上の展開」です。

ウォール街は、これまでヒラリー・クリントンに沢山献金してきて、ヒラリーを手なずけてきました。

その「子飼い」のヒラリーが、こともあろうに「マングース」を家に引き込んできたわけですから、これはもうガクブル以外の何物でもありません。

(2016年6月17日「Market Hack」より転載)

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