アリババNYSE上場 IPOロードショウは簡潔で、力強く、説得力がある

アリババ(ティッカーシンボル:BABA)の新規株式公開(IPO)ロードショウの動画がネットにUPされました。そのプレゼンテーションは簡潔で、力強く、説得力があります。本編でロードショウ・プレゼンテーションをしているのはジョー・サイ(Joe Tsai)EVPとマギー・ウー(Maggie Wu)CFOです。(ジャック・マは、各ビジネス・ユニットの仕組みを説明する補足の動画に登場します)

アリババ(ティッカーシンボル:BABA)の新規株式公開(IPO)ロードショウの動画がネットにUPされました。そのプレゼンテーションは簡潔で、力強く、説得力があります。

本編でロードショウ・プレゼンテーションをしているのはジョー・サイ(Joe Tsai)EVPとマギー・ウー(Maggie Wu)CFOです。(ジャック・マは、各ビジネス・ユニットの仕組みを説明する補足の動画に登場します)

既にアリババの経営内容に関する主要指標はひとつ前の記事に紹介しましたので、ここではロードショウ・プレゼンテーションが視聴者に特に訴求しようとしていたポイントだけを紹介します。

先ずアリババには現在2.71億人のアクティブ・ショッパーが居り、これはeコマース企業としては世界最大です。

次に取扱高(GMV)は2,960億ドルです。因みに同じ尺度ではアマゾンは1,160億ドル(2013年)です。

プレゼンテーションは、エコシステムの重要さを強調していました。その一例としてアリババ上で商売をしているマーチャンツはアリババのプラットフォーム上に直接CRMやERPシステムを構築していることが説明されました。つまり顧客離反が起きにくいわけです。

アリババは既に最大のエコシステムを運営している関係で、ユーザー数も最大であり、これがネットワーク効果を生み、もっと人や商品が集まってきています。

中国の人口は13.5億人、そのうちインターネットユーザーは6.18億人(46%)です。しかしネットショッピング人口は未だ3.02億人(ネット人口の49%)に過ぎません。因みに米国のインターネット普及率は82%、ネットショッピング比率は64%です。

中国のGDPは9.5兆ドルですが、そのうち消費が占める割合は3.4兆ドルにすぎません。つまりGDPに占める消費の割合(現在36%)が、今後米国の67%とまではいかないものの、着実に上昇することが考えられるわけです。その消費のうちネットショッピングは3000億ドルに過ぎません。なおこのネットショッピングの大半はアリババが扱っています。

アリペイは端的に言えばエスクロー・サービスを提供しており、これはネット上の商取引に不可欠な信頼を提供しています。アリペイは業務内容的には銀行業に近いため、当局からは銀行としての監督・規制を受けます。このためアリペイを別の金融会社として分離し、銀行のコンプライアンスを順守するとともにリスクをコンパートメント化しました。

ロードショウ・プレゼンテーションでは中国のeコマースにおけるロジスティクスの重要さも説明されています。また膨大なデータベースがアドバンテージをもたらすことが説明されていました。

財務面での説明のセクションでは、まず同社の売上高がGMVに連動することが説明されていました。これはマーケティング・サービス収入がパフォーマンスに連動しているためです。

直近の四半期では売上高は+52%成長、EBITDAは+85%成長でした。セールス&マーケティングに先行投資したためマージンは前期比で若干下がりました。

その他、アリババのビジネスモデルの特徴としては、在庫が無い、顧客獲得コストが極めて低い、その結果、フリーキャッシュフロー比率が61.5%と極めて高いことが指摘されました。

なお、これは今回のプレゼンテーションでは言及されていない点ですが、アリババのGMVが約50%で成長している一方で、アマゾンのGMV成長率は23%程度です。

つまり既にアリババはアマゾンより遥かに取扱高が大きいだけでなく、成長の速度でもアマゾンより遥かに速く成長しているということです。

アリババのロードショウは月曜日にニューヨークの大きなグループランチでキックオフされます。これは通常のロードショウのスケジュールと真逆です。

最初に、最も重要なイベントをぶつける理由は:

1.アメリカではアリババは知名度が低く、最初に強烈なプレゼンでBuzzを生む必要がある

2.プレゼン自体の訴求力が強く、完成度も高いので、通常のロードショウのように、まず地方都市で場馴れしてから、最後に最も大事な舞台に上がるという助走は必要ないこと

によると思います。

値決めは9月18日、取引開始(日本から最初に注文を入れることが出来る日)は現地9月19日です。

(2014年9月6日「Market Hack」より転載)

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