先日、「文化アパート」を購入しました。
「文化アパート」って関西の方以外は、何の事だろう?と思われると思います。
写真をお見せするとこんな感じ。
高度成長期の昭和30~40年代ごろに建てられた木造アパートのうち各戸に風呂とトイレが付いている住宅のことを関西では「文化アパート」「文化荘」「文化住宅」と呼ばれています。
それまでのアパートは風呂が無かったり、トイレが共同だったりする事が多かった中で、各戸に風呂トイレが付いている当時としてはワンランク上のアパートだったんですね。
ただ、築40年以上たち、老朽化が進んでいるために空き家が目立ち解体されマンションなどに建て替えられることが増えました。
それでもまだまだ大阪にはたくさん残っています。
ちょっとご縁があって安く譲っていただく事になっているのですが、どうやって再生するのか頭を痛めております。
全部で8戸あり、現在3戸が入居中。5戸が空室です。
入居されているのは古くから住まれているご年配の方が多いです。
周辺には同じようなアパートがたくさん建っていますが、どこも半分以上空いているようです。
普通にリフォームして募集しても新しく住んでくれる人がいるのか、誰をターゲットにどのような運営をすべきなのか、現在色々と試行錯誤中。
読者のみなさんのアドバイスを頂ければ嬉しいです。
さて、最近あちこちで「まちづくり」だの「地域再生」なんてことを言っていると僕に相談に来る若い人がちらほら出現しました。
僕は不動産屋としては10年くらいやって来ましたが、まちづくりに関してはまだまだこれから。
そのため、あまりたいした話は出来ませんが、不動産屋の目線から見たまちづくりへの考えをお話ししています。
まちづくりに何か取り組みたいと考えた時に、多くの人は「遊休不動産を安く借りて、そこで地域の人が集まるようなお店をやりたい」という感じで考えると思います。
僕はその都度、「借りるんじゃなくて買ったほうが良い」と言っています。
特に店舗系の事業をするなら、買えるなら絶対に買うべき。
理由はいくつかありますが、今回は「不動産の価格って意外と高くない」という話を書きます。
不動産の価格っていくらくらいと思いますか?と聞いたらどんなイメージを浮かべられるでしょう。
多くの方はマンションや戸建て住宅のチラシに載ってる価格を思い浮かべると思います。
新築だと場所にもよりますが、普通の人が検討するマイホームって2,500万~5,000万円くらいじゃないかなと思います。
これを35年の住宅ローンを組んで一生掛けて支払っていくというイメージですよね。
それだけでも一生に一度の思い切った買い物なのに、商売するための不動産まで買うなんて庶民じゃ到底無理だよと皆さん思っています。
しかし、「家一軒50万円で買えるよ」と言ったらいかがですか?
僕が今まで見た一番安い家は「10万円」でした。
僕は大阪で不動産屋を営んでいますが、「100万円以下の不動産」って探せば時々出てきます。
不動産価格が東京都の次に高い大阪であるんですから、他の県でも多分探せばもっと安いのが出てくるはず。
大学生が夏休みアルバイトして、そのお金で不動産を買うなんてことも決して不可能は夢物語ではないのです。
ただ、問題がいくつかあります。
まずあまり流通してません。
なぜなら不動産会社は低額の不動産を扱っても手間暇ばかりかかって儲からないからです。
不動産の仲介手数料の上限は法律で定められています。
例えば100万円の不動産を取り扱った時の仲介手数料は5万円。
1億円の不動産を取り扱うと、同じ手間暇で300万円の仲介手数料がもらえます。
必然的に不動産会社は少しでも高額な物件を取り扱おうとします。
もし100万円以下の不動産を探すなら、地元に密着している不動産会社を一軒ずつ訪ね歩いて、そういう物件が無いか聞いて回るなど地道な努力が必要です。
もう一つの問題は、こういう物件はかなりボロです。
とてもじゃないけどそのまま住めません。
時には崩壊寸前の建物もあります。
雨漏りを長年放置して屋根がほぼ腐ってるとか、そんなのばかりです。
仮に安く買えても、膨大な修繕費が掛かる場合があります。
しかも、この手の物件はだれも責任を取ってくれません。
売主も、不動産会社も「この物件、多分腐ってると思うけど自己責任で買ってね。クレームとかは一切受け付けないよ」と言う条件じゃないと売ってくれない場合が大半なのです。
(古い物件の室内はこんな感じ。そのままでは貸せません)
でもこういう物件を買って自分たちで修繕して、それを活用して店をやったり、誰かに貸して高収益を上げている人も実はたくさんいるのです。
いかがですか?
ちょっと訳ありのことが多いですが、激安の不動産ってあるのです。
今問題になっている空き家問題も、みんなが欲しいような家は高額で売れていきますが、「タダで良いから誰か貰って」という家も結構あります。
まちづくり派を目指す若い人はこういうのを買って運営してみてはいかがでしょうか?
ちなみに冒頭の文化アパート、いくらで買ったかは内緒ですが、それなりに安く購入しております。
借りるより買う方が良いという理由はまた改めて解説します。