日本でも同性婚をーー。
同性婚を認めないのは、憲法が保障する「婚姻の自由」や「法の下の平等」に反するとして、全国各地の同性カップル13組が2月14日、国を相手取り、損賠賠償を求めて一斉提訴する。提訴後は、支援者に向けた報告会も開催される。
訴訟の弁護団を中心とした団体「Marriage For All Japan - 結婚の自由をすべての人に」が21日、東京都渋谷区のTRUNK HOTELでイベントを開催。冒頭、同団体代表で弁護士の寺原真希子さんより、一斉提訴の期日が発表された。
「愛を誓い合う日、2月14日のバレンタインデーに、全国で一斉に提訴します。 好きな人と一緒に生きたいと思うすべての人たちが、お互いの愛を誓い合って、幸せに暮らして欲しい。そんな願いをこめて、このバレンタインデーという日に決めました」
「誰もが偏見を気にすることなく愛を交わし、望む場合には結婚という形で法的保護と社会的承認を得ることができる、そんな当たり前の社会を実現させます。 同性愛などの方々がその尊厳を取り戻す闘いが、今、始まります。ぜひ多くの方々と一緒に考えて、盛り上げていけたらと思っています」
2月14日、同性婚を求める同性カップル13組が、東京、大阪、札幌、名古屋の4地裁で国を相手取り、一斉に提訴する。
原告のカップルが婚姻届を提出し、不受理に
原告となる同性カップルのうち、少なくとも3組以上がすでに婚姻届を役所に提出。いずれも不受理の見通しで受け付けられた。
25年間、パートナーとして共に暮らしている東京都中野区の大江千束さんと小川葉子さん。「私たちの横では、男女のカップルが嬉しそうに婚姻届を出されていました。当たり前ですが受理されて、家族として新しい戸籍ができるわけです。そこに平等はないんだなと、わかっていながらも、現場で突きつけられた感じはありました」
埼玉県川越市で婚姻届を提出した古積健さんと相場謙治さんは、NHKの取材に対して「声をあげたいけどあげられない人がたくさんいるなら、自分たちができることをしたい。バッシングもあるかもしれませんが、誰かがこういうことをしないと動いていかないと思うので、自分たちが盾となって進んでいきたいと考えました」
訴訟の争点:「立法不作為」による「国家賠償請求」
訴訟では、以下の点を理由に国を訴え、その中で「憲法が同性婚をどのように位置付けているか」が争われることになる。
(1)同性婚が認められていない現状は憲法が保障する「婚姻の自由」を侵害し、「法の下の平等」に反しているにも関わらず、国は、同性カップルが結婚できるように法律を整備することを怠っている状態だ(立法不作為)。
(2)それにより、同性カップルは不利益を被っている。これは憲法上の人権を侵害しており違法だ。そのため国は賠償すべき(国家賠償請求)という請求だ。
上記の点を判断するために、憲法24条「婚姻の自由」や、憲法13条の「個人の尊厳」と「幸福追求権」、さらに憲法14条の「法の下の平等」との関係で、同性婚がどのように位置付けられるかが争点となる。
change.orgの署名キャンペーンがスタート
提訴日に向けて、change.orgの署名キャンペーンもスタートした。裁判所へ提出するという。
さらに、訴訟を支援する団体「Marriage For All Japan- 結婚の自由をすべての人に」のWEBサイトが公開。
「Marriage For All Japan - 結婚の自由をすべての人に」WEBサイト
求めているのは「婚姻の平等」「結婚の自由」
提訴は2月14日の午前中に行われ、会見後に支援者へ向けたイベントも行われる予定だ。詳細情報は今後、WEBサイトやSNSで発信されていく。
いよいよ、同性婚の合憲性を問う日本で初めての訴訟がはじまる。
長年連れ添ったパートナーの死後、共に築いた財産を奪われ、火葬に立ち会うこともできなかった人がいる。
パートナーが産んだ子どもとの関係を「赤の他人」として扱われ、病院で立会いを断られた人がいる。
同性婚は、こうした不幸を減らし、愛するパートナーと共に生きたいと思う人にとって一筋の希望となるだろう。
求めているのは、「婚姻の平等」だ。
「パートナーと人生を共に歩みたい」と思った時、相手が異性であれ、同性であれ、結婚するかしないかを自由に選べる社会であって欲しい。
同性婚ができても、日本がLGBTばかりにはなることはないし、国が崩壊することもない。制度を利用する人にとっては、より強い安心を得ることができるが、利用しない人とっての毎日は、何も変わらない。
訴訟は長い戦いになるだろう。そして、「結婚とは何か」を、私たちは問うことになる。
まずは議論をスタートさせよう。「結婚の自由」をすべての人へ届けるために。