民主党と維新(残留組)が合併できない、やんごとなき理由を検証してみる

「党名」を書いてもらい、比例代表制度で当選した議員たちには「縛り」があります。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

総務委員会で取り上げた都政ネタはまだまだ沢山あるのですが、

週の中休みとして政局の話題をば。

<民主>維新と合併検討...来春目指し 解党せず「新党色」(毎日新聞)

民主党という名前の政党には合流しない...松野氏(読売新聞)

「合併には双方の解党が条件だ」

「党名さえ変えてくれれば合流する」

「民主党を割って出てくるメンバーと新党結成!」

等など様々な意見が飛び交っている民主と維新(残留組)の合併話ですが、

感情論や面子だけではなく、実は制度的にも極めて困難な事情があります。

諸悪の根源は「比例代表」という制度です。

選挙区で自らの名前で勝ち上がった議員たちは、

当選後にどこの党に行こうが基本的には勝手なのですが、

「党名」を書いてもらい、比例代表制度で当選した議員たちには「縛り」があります。

それは一言でいうと、「選挙の時に存在した他党に移籍しちゃダメよ」というもの。

そりゃそうですよね。「自民党」とか「公明党」とか、党の票で当選した議員が

簡単に移籍できては、有権者の期待を裏切ることになってしまうからです。

維新の党、特に残留維新組には参議院の比例代表制度や、

衆院選における「比例復活」で当選した議員が多く、彼らは

民主党にそのまま移籍することは制度上不可能なわけです。

ただこの縛りには、有名な「抜け道」があります。

「選挙の時に存在した他党に移籍はNG」」ということは、

当時存在しなかった政党、つまり新党に移籍・加入することはOKなんですね。

これが当初、民主党の解党を

一部の維新議員たちが強く主張していた主な理由になります。

ところが、民主党の解党というのにはリアリティがほとんどありません。

だって、党を解党するのってむっっちゃくちゃ大変ですから。

これ、みんなの党を最後まで看取った私が言うんだから間違いありません。

自慢気に言うことじゃないけどさっ!

会計処理に地方支部の解散等々、みんなの党程度の規模の組織でも、

それはそれは煩雑で気の遠くなるような作業が必要になりました。

所属国会議員が100名規模で、地方議員や党員も膨大な数を抱え、

支持団体も強固な民主党が解党するとなれば、次元が違う事態が発生するでしょう。

どう考えても民主党側にはデメリットの方が大きいですから、

この議論は早々に立ち消えていくことになります。

では、「吸収合併」はどうでしょうか?

実はこれであれば、比例代表当選の議員も移籍することが可能です。

「維新の党」で当選したけれど、その党は「民主党」と合併しました。

党名は消えたけれど、その政策や理念は「民主党」に引き継がれます!

...これなら有権者の信託を裏切ったことにならないと、そういう理屈なんですね。

ですが維新(残留組)には、これもできない理由があります。

それは党内に、「みんなの党」の比例票で当選した議員たちがいるからです。

現在代表選に出ている小野次郎さんや、川田龍平さんなどがここに当たりますね。

みんなの党は解党・消滅していますから、「吸収合併」されることができません。

なので民主と維新が合併したとしても、彼らの存在がルーズボール化してしまいます。

さすがに身内を切り捨てて、この選択をすることはないんじゃないでしょうか。

同様に、維新が解党してしまうと民主党とさらに「合併」できなくなってしまうため、

一部で出ている「解党に合意」報道はトバシ記事の可能性が高いと思われます。

こうなると必然的に打つ手は限られてきて、

「民主党を飛び出てきた一部と新党を結成する」

あたりが現実的な落とし所になります。

ですが、その動きが期待された細野・前原組については、

ほぼすべての永田町関係者が

「いつものハッタリでしょ」

という見方をしており(苦笑)、

こちらも現時点では厳しいんじゃないかと思います。

さて、代表選後の残留維新は、どんな動きを見せるのでしょう...。

もちろん最後の最後までどのような展開になるのかはわかりませんが、

このような様々な制度を理解した上で報道などに触れると、

また違った見方ができるかもしれませんね。

というか、比例代表制度を作った人たちも、

まさかこんなに簡単に政党が消滅することを想定してなかったんだろうなあ...

政界というのは、本当に恐ろしく奇妙なところです。。

それでは、また明日。

(2015年12月2日「おときた駿公式ブログ」より転載)

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