ぼくらは生きたい!

安倍首相、そして集団的自衛権行使を推し進めようとする政治家のみなさん、子どもたちのこの叫びを聞いてください。「ぼくらは生きたい!」という、もっともシンプルで、力強い、叫びを!
時事通信社

6月最後の月曜日夜、首相官邸前で集団的自衛権行使容認に反対する抗議行動が行われた。

官邸前での集団的自衛権行使に反対する抗議行動はすでに何回か行われているが、正直あまり人出は芳しくない。

しかし、いよいよ明日1日にも閣議決定か? と言われる30日は様子が違った。7時に国会議事堂前駅に着くと、すでに歩道は人で溢れ、身動きも取れないほど。どうにかぎゅうぎゅう詰めの歩道を後ろに抜けて、空いている場所を見つけて列に並んだ。

やっと余裕ができて周りを見ると60、70代とおぼしき高齢の男女ばかり。ああ、こんな日もまだ(日ごろの反原発などの運動と同じように)お年寄りが声を上げるだけで、若い人は知らん顔なのか? と残念に思っていたら、「すみません、入れてください」と、ドドドドと、子どもたちの集団がやって来た。その数30人以上。私といっしょにいた女性が「どこから来たの?」と尋ねると、「学校で呼びかけて集って来た」という中高生たちだ。すごい! 一気に辺りの温度が上がったよう。彼らがいるだけで熱気をメラメラと感じる。

そうだ!と思い、ちょうど私の後ろにいた熟年女性の集団が1台の小さなメガフォンを持っていたので、「すみません。それ、子どもたちに貸して、コールしてもらいませんか?」というと、喜んで差し出してくれた。そして子どもたちに手渡すと、そんなものを使って大声で公道で叫ぶなんてことなかった子どもたちは大喜びでシュプレヒコールを始めた。交代交代に生徒の1人の子が叫び、それにみんなが応える。

 その声は若い純粋なエネルギーに溢れ、実際にも子どもの声は甲高くて生き生きと元気で、もう、周囲は一気にパアアアと明るくなる。いっせいに廻りの大人たちもコールに応える。

子どもたちのコールは大人たちを模して「憲法変えるな」「安倍は辞めろ」「解釈改憲ぜったい反対」といったものもあったけれど、他は彼らの心の叫びそのもの。

「安倍さん、愛して! 安倍さん、愛して、子どもを愛して!」

「子どもを守って!」

「戦争いやだ!」

「ぼくらのたいせつな人をとらないで!」

「日本を守って!」

「憲法守って!」

「戦争行きたくない!」

大人たちのコールは否定的になりやすいのに、子どもたちはまっすぐで、安倍首相にも愛して!と求める。「安倍首相、アイ・ラブ・ユー」と叫んだ子もいた。愛をもらったら、愛で返すべきではないか、首相よ!

しかし、私もライターなら、彼らに「どうしてここに来たの?」とか質問をすべきだったかもしれない。いや、でも、ちがうな。彼らのこうした叫びがその答えだろう。彼らは自分たちで考え、それを訴えに来た。本来なら自宅で宿題をやったり、LINEをしたり、テレビを見ている時間をけずって。何も尋ねることはなかったろう。

子どもたちはみんな元気で、普通の子たちだった。1人の男の子はリュックにスケボーをくくりつけていた。

中学生たちは8時過ぎに先に帰り、その後、高校生たちは9時まで頑張った。途中から、抗議行動ではおなじみのドラム隊も加わり、子どもたちのコールとドラム隊の共演になった。周囲にたくさん人が集り、みんな、口々に「すばらしい」と言っている。子どもたちは大人たちを勇気づけた。

そして、子どもたちが発した最高のコールであり、そして彼らの心からの叫びのコールは、「ぼくらは生きたい!」だった。

「ぼくらは生きたい!」

「ぼくらは生きたい!」

「ぼくらは生きたい!」

何度も繰り返されたそのコールに、周囲の大人はみんな涙をぬぐった。

安倍首相、そして集団的自衛権行使を推し進めようとする政治家のみなさん、子どもたちのこの叫びを聞いてください。「ぼくらは生きたい!」という、もっともシンプルで、力強い、叫びを! この言葉に知らん顔ができる大人でいられるなんて、おかしい。

「ぼくらは生きたい!」

子どもたちにそんな叫びをさせる政治は、私は間違っていると思う。

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