ハフィントンポストにブログを書かせていただくことになりました、編集者・ジャーナリストの江口晋太朗です。自己紹介兼ねつつ、つらつらと考えていることでも書いてみたいと思います。
僕は、高校卒業後に大学に進学せずに陸上自衛官として、長崎にある西部方面隊普通科連隊に約3年間勤務していました。2003年から2006年という在籍当時は、イラク派遣やPKOなど自衛隊が連日報道の渦中にあり、社会との深い接点を持つ時代でもありました。そうした時代の中で、社会の歴史や情勢などについてきちんと向き合い、改めて自分が世の中の役に立てる仕事とは何かを考えようと思い、2006年の夏に除隊をし、大学で勉学を学びたいと考え受験をし、東京へと上京してきました。
大学入学後しばらくしてから、たまたま友人の紹介で議員インターンシップに参加した2008年のまさにその頃、自民党から民主党へ政権交代が起きる真っ最中であり、アメリカでは初の黒人大統領であるオバマ氏が当選をし、「Yes,We Can」「Change」などを掲げるなど、大きな変革が世界中で起こり始めていました。
アメリカの政権交代の動きの中で、多くの人たちが社会に対して声をあげ、自分たちで社会を作っていこうとする動きを見ながら、日本でもどうしたらそうした動きを起こせることができるのか、ということを考えていました。そして、社会参画の1つのきっかけとして、ウェブやソーシャルメディアなどが大きく寄与していることに対する感動と衝撃を、僕は強く覚えました。
それまで、携帯はいわゆるガラケーを持ち、SNSという言葉もろくに知らず、Yahoo!とGoogleとの違いも分かっていないようなウェブやデジタルというものに対してまったく関心も知識も経験もない状態で、同世代の中でもデジタルに疎い存在だったと思います。しかし色々と調べていくうちに、ウェブがこれからの時代における様々な可能性を持っていると確信したと同時に、もっと多くの人たちが社会に意見を発し、声をあげ、問題に対して対話の場を設け、みんなで世の中を解決していくような社会を作っていこうと考えました。
そこで、ブログやソーシャルメディアでの発信などの活動がきっかけとなり、 在学中から色々な方々とお仕事をする機会をいただくことになりました。ソーシャルビジネスなどの社会問題解決に取り組む人たちに対するPRやメディアづくり、分野を超えた人たちをつなぎ、コラボレーションを生み出していく場作りやイベント企画プロデュースなどをテーマに活動してきました。友人たちとウェブマガジンを作ったり、Ustream中継でのソーシャルメディアを使った企画プロモーションにも携わり、今ではフリーランスの編集者・物書きとして、スタートアップの取材やベンチャーや経営者のお話を伺い執筆を行うなど、ウェブやデジタルの分野で仕事をする機会をいただけるようになりました。
2012年には、学生時代から付き合いのあった友人らと一緒に、ネット選挙解禁を目指して活動する「One voice Campaign」を立ち上げ、SNSやデジタルを活用し、これまでネット選挙解禁を目指して活動してきた団体や企業など多くの人たちを巻き込んだムーブメントを作り上げ、その結果ネット選挙に関する世論の関心が高まり、法律改正へと至ることができました。
ネット選挙の解禁は、もちろんそれがゴールではありません。ネット選挙を実現したことによって、私たちの声がより社会に届く仕組みづくりへの1つのきっかけを作ることが目的でした。
実は、すでに私たちはそうした経験を経ています。東日本大震災において、ソーシャルメディアを中心にリアルタイムでの情報共有や発信、節電を呼びかけるクリエイティブを多くの人たちが作ったり、震災や被災情報をITの力で短時間で集合知的な形で形にしたりするなど、人のつながりによるソーシャルの力で、問題解決を図ろうとする動きが活発化しました。個人の力ではなく、友人や仲間を巻き込み、共感を生み出しながら、社会をどうしていくかを自分たちで考え、対話し、実践をしてきているのです。
「私たち」で政治を作っていく。政治に対して意識を持ち、声をあげていくということを日常化していく1つの転換点として、今回のネット選挙の解禁を位置づけることができると考えています。拙著『パブリックシフト』では、そうした社会の担い手が私たちに市民へとシフトしていく時代を迎える、という内容を書かせていただきました。ぜひ、興味のある方は一読いただけるとありがたいです。
私たち自身が社会にどのように携わり、そしてどう考えていくべきなのかのアイデアを出して共有をし、実行していかなけばなりません。そして、アイデアの実行のみならず、分野を横断してコラボレーションし、未来の文化、未来の社会を作っていくことが求められてきています。そうした未来の社会のあり方を、日々模索しながら活動を行なっています。ぜひ、みなさんと一緒に色々な企画をもとに活動していけたらと考えています。こちらのブログでも、そうしたアイデアの共有や考えなどを積極的に発信していこうと思っています。