何か新しいムーブメントや、面白いことをやる人が出てきたら、必ず「あれ、なんか違うよね」って文句をつける人っていますよね。
そして、その文句をつける人を、僕のような外部の人間から見ると、その新しいムーブメントの趣味や方向性と結構重なっていて、なおさら「あれれ、どうして文句をつけるんだろう?」って気になることってあります。
僕はネガティブな言動って、そのままストレートに言葉通りに受け止めるべきではないといつも思っています。
何かだいたい違う意図があるんですよね。
「本当はそういう風に自分もなりたいけどなれないから嫌う」という「願望憎悪」だったり、「本当は同じような出自なのに、あいつは調子にのっている」という「同族嫌悪」だったり、あるいは「あいつが目立ってしまうと自分の立ち位置がなくなってしまう」というただの「勢力争い」だったりと色々、原因が考えられます。
そして、最近、気がついたのは「本当はそのムーブメントや人の集まりの仲間になりたいんだけど、仲間に入れてくれないから陰で文句を言う」というパターンがあるということです。
林 成之という脳神経外科医が書いてたのですが、人間の脳がやっていることは「生きたい」「知りたい」「仲間になりたい」この三つだけなんだそうです。
そうなんです。僕たちは本当はすごく「仲間になりたい」んです。でも、なれないから陰で文句を言うわけです。
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そんなことを考えていたら、こんなことにも気がつきました。
大成功する人やムーブメントは「どんな種類の人もどんな集まりも仲間にしてしまう」ということです。
逆に「この人、かなりセンス良いし、時代とピッタリだなあ。これ、すごいことになるんじゃないかなあ」って感じていたのに、そんなに上手くいかない場合は「小さい固まりだけでとどまって、新しい仲間を増やさない」という場合が多いです。
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沖野修也さんの『職業、DJ、25年』という本を読みました。→http://goo.gl/XEfcvp
これ、沖野さんが「トライ&エラー」を繰り返しながら少しづつステップをかけのぼっていく、「サクセス・ストーリー」でとにかく読んでいて面白いし、僕は当時の音楽や東京の空気も知っているのでジャイルス・ピーターソンが
「キョート・ジャズ・マッシヴ」って名付けた瞬間とか、CHARAやUAが登場すると「おお、そうだったんだ!」って嬉しくなっちゃいます。
そんな当時の情報もてんこ盛りなのですが、この本のポイントは「なぜ、沖野さんが成功したか」というのを読者が色んな風に考えられる「テキスト」になっているところなんです。
ある人は「とてつもない行動力」のことを指摘するでしょうし、ある人は「失敗をものともしない楽観性」に驚くでしょう。またある人は「いつまでも持ち続ける好奇心」に驚くでしょうし、あるいは「世の中をアッと言わせる生まれついてのエンターテイナー」のことを思うかも知れません。
そして僕はこの本を「沖野さんが世界に仲間を作っていく物語」だと読みました。
本の中で「あの人とはこんな風にして出会った」という記述がとにかく盛りだくさんなんです。沖野さんにとって、世界は「出会い」に満ちていて、そしてまるで手品のように世界と「仲間になってしまう」んです。
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この本、「今に大成功してやる」なんて考えている若者はもちろん、「最近、どうも煮詰まってるなあ」なんて中堅の方もやる気が出ますよ。是非!
bar bossa 林伸次
著書「バーのマスターはなぜネクタイをしているのか?」http://goo.gl/rz791t