石破茂です。
参院選が終わって五日、ようやく少し落ち着いた日々が戻ってきつつあります。総選挙、都議会議員選挙、そして参議院選挙と、一連の選挙を終えてやっと自民党が国政に万全の態勢で臨む環境が整いました。
参院選の遊説や討論会の際に何度も申しあげたことですが、選挙に勝ち、過半数の議席を確保することはあくまで手段であってそれ自体が目的なのではありません。あまりに当たり前のことなのですが、これからまさしく自民党の真価が問われるのです。
消費増税と社会保障改革、TPP交渉と農政改革、普天間基地移設と新防衛大綱の策定、民間主導の経済成長に向けた過当競争の是正・設備投資の促進・経済的規制の緩和など、早急に結論を出し、実行に移さなくてはならない課題が山積しています。
幹事長になってからの十か月、ほとんどまともに本や論文を読むこともなく、その場その場の対応に追われる日々が続きました。
勿論必要な文献には一通り目を通し、それなりに咀嚼して自分の言葉で話せるようにはしてきたつもりですが、学生時代の試験勉強のようなもので、きちんと体系的に自分の中で整理が出来ているわけではありません。秋の臨時国会までの間、いつか読もうと思ってそのままになっている本を何冊かじっくりと読もうと思っております。
佐瀬昌盛先生の「集団的自衛権 論争のために」が私にとっては典型ですが、何十回も読み返して、関係する国会議事録や諸文献を全部読んで、やっと自分の知識として身につくような、そんな勉強ができる機会はもうそんなに多くはないと思うのです。
PHP新書から出ていた旧版はもう絶版となっていますが、昨年七月に一芸社から新版が出ています。旧版は、「これを理解することなしに集団的自衛権を語ることはできない」と確信するほどの内容でしたが、新版を読める機会を心から楽しみにしています。
テレビがハイビジョンになったせいでしょうか、「随分日焼けしたね」とのお声を多く頂いたのは意外でした。夏の選挙はいつもこんなもので、今回だけ特別に言われるのはそのせいとしか思えません。
小・中学生の頃はほとんど毎日のように海やプールで泳いでいて、それこそ顔のどちらが表でどちらが裏かわからないくらいに真っ黒になっていた私としては、これくらいがどうしたの、という感じですが、大勢の方にご心配を頂き、早期の治療に努めております。
「何であそこまでやるんだ」とか「人寄せパンダが幹事長の仕事ではない、もっと団体を廻れ」とかいうお声も頂いておりますが、選挙は結果がすべてです。ご批判はどうぞご自由に、と言う他はありません。
総力を挙げたにもかかわらず勝てなかった沖縄、岩手の敗因分析と立て直しを急がなくてはなりませんし、勝った選挙区も反省点が多くあるはずで、それらの改善も図っていかなくてはなりません。選挙に勝った瞬間から次の選挙なのだ、ということを決して忘れてはならないのです。
民主党をはじめとする野党の混乱ぶりは、他党のこととは言え、目を覆いたくなるような惨状です。
「とにかく自民党に対抗しうる野党の結集を!」という試みは絶対に成功しないと確信します。二十年近く前、新進党を作る際の艱難辛苦とその後の展開を体験した者がもはやいなくなってしまったからでしょうか。
自民党があの政権交代時の壊滅的惨敗から立ち直ることが出来たのは、鳩山、菅という恐ろしく無能な政権の存在と、強固な地方組織のお蔭であって、それがあってこそ谷垣体制下での真摯な取り組みが生きたのだと思っております。
自民党政権はそんなに無能でもないし、民主党をはじめとする野党に地方組織はほとんど無いのに加え、彼らには谷垣元総裁のような存在もなく、その前途は誠に暗いというしかありません。
「今度自民党が失敗する時は、それは自民党の終わりではなく日本の終わりなのだ」ということが、今ほど実感を持って感じられるときはありません。
土曜日は、ウェークアップぷらす(日本テレビ系・午前8時)、激論クロスファイア(BS朝日・収録・午前10時)、週刊ニュース新書(テレビ東京系・午前11時)、日曜日は、時事放談(TBS系・収録・午前6時)、その他の時間は久々にお休みをいただきます。
皆様、有り難うございました。お元気で週末をお過ごしくださいませ。
(※この記事は2013年7月26日の「石破茂ブログ」より転載しました)