参議院選挙が近づいてきました。国民の皆さんの審判を仰ぐべき争点はたくさんあります。景気と雇用、憲法改正、脱原発、TPP参加、消費増税。しかし、私は、受動喫煙防止法の制定も争点の一つに加えたいと思います。受動喫煙防止法?もっと大事なことがあるだろう。そう言われることもあります。しかし、とても大事なんです受動喫煙防止。
受動喫煙の害は世界的に認識されており、多くの国々が、受動喫煙防止のための規制を定めることを義務づけている「WHOたばこ規制枠組条約」を批准しています。日本も条約の批准国です。しかし、この条約をうけて、今や世界のほとんどの国や大都市が受動喫煙防止法や条例が制定しているにもかかわらず、日本には、受動喫煙を防止するための法律がありません。日本は、国際社会との約束を果たしていないのです。
また、東京は2020年のオリンピック招致に向けて活動を続けています。IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は、「健康的なライフスタイルに関する合意文書」を結んでおり、タバコフリーのオリンピックを目指しています。歴代オリンピック開催都市にも、2020年オリンピック立候補都市のイスタンブール、マドリードにも、受動喫煙防止法(条例)が制定されています。たばこ生産量、消費量世界一の中国でさえも(失礼)、北京オリンピック実現のために北京市に受動喫煙防止条例を制定しました。何の対応もなされていないのは東京だけであり、このままではオリンピック招致に悪い影響が出かねません。
一方で、国民の8割が公共スペースでの完全禁煙に賛成しているとの世論調査もあります。それなのに、政府は、受動喫煙防止法の制定に及び腰です。
理由の一つは、政治家に喫煙者が多いことです(これは冗談ではなく、本当の話です。)。
もう一つ、大きな理由としてたばこ利権にあります。日本では、日本たばこ産業株式会社(JT)が、たばこ葉をたばこ農家から全量買い上げをして、独占的に製造・販売しています。そのJTの筆頭株主が国(財務省)なのです。
ですから、JTが儲かれば財務省が儲かる仕組みになっています。もちろん、たばこ税による収入もあります。財務省としてはたばこによる収入が減るのは困りますから、受動喫煙防止には大反対です。また、たばこ税の半分は地方税で、地方自治体の大きな収入源になっています。とある町では税収の半分がたばこ税というところもあるそうです。ですから、地方自治体も受動喫煙防止には消極的なところが多いのです。
ちなみにたばこ税収は国と地方を合わせて年約2兆3000億円。このように書くと財政難のなか税収が減るのは困るではないかという声が聞こえてきそうです。
しかし、財団法人医療経済研究機構の調査によれば、喫煙により国民がこうむっている経済的損失は約6兆3000億円にものぼるのです。どちらが得かは一目瞭然です。
国民の皆さん、ぜひ、受動喫煙防止法を制定すべきか否かを参議院選挙の争点として加えてください。