私の今のお仕事は、自民党総務会長。総務会長とは何か?について今回はお伝えしましょう。
総務会長は、自民党の最高意思決定機関、総務会の議長です。人事、法案、ここですべて党として意思決定されます。たとえば法案だと、党の部会などで議論された後で、ここ総務会の議題となります。ここを通った法案は党議拘束がかかるのが原則です。つまり、賛成と決まったら、自民党の国会議員であるならば、賛成するのがルールなわけです。
ですから、権威ある場ですし、歴代の総務会長もベテラン議員が就任することが多いです。たとえば、中曽根康弘さん、宮沢喜一さん、森喜朗さんなどがそうです。
総務会のメンバーにも一年生議員はいません。比例の各ブロックの代表者や、大臣経験者の重鎮が顔をそろえています。たとえば、二階俊博さん、大島理森さん、野田毅さん。週に二回、会議を開いています。
私は、自民党総務会は成熟した民主主義を体現する、ルール作りの場だと思っています。議論をして、最後は全会一致が原則です。私が就任してから今のところ、議論が紛糾したことはなく、穏やかかつ健全な場となっています。
といっても、自民党の長い歴史のなかでは、議論を尽くして最後は全会一致、というルールが破られたこともあります。それは私も大きくかかわった、小泉純一郎政権での郵政民営化が議論のときでした。郵政民営化の関連法案が総務会にかけられたときのことです。私は法案に反対していました。総務会のメンバーではありませんでしたが、大事な局面だったので、オブザーバーとして参加していました。
賛成派からも多数が動員されて、多くの人たちが参加していました。そして採決になったときのこと。忘れもしません。まだ多くの意見が出ていたのに、当時の久間章生総務会長が議論を打ち切って採決を強行。怒号の飛び交うなか、総務会のメンバーでもない人たちが「賛成」と手を挙げて、「賛成多数」とされて法案は総務会を通ったことになりました。その後、何が起こったかはみなさんよく御存じのとおりです。
党をまとめる役目の総務会長としては、あのときはああするしかなかったのかもしれません。でも、正当な手続きだったのか?
そう思って、長らく総務会を担当する自民党の事務方に聞いてみました。すると、「たとえ少数でも総務会長が『多数』といえば、多数となる」のだそうです。なるほど。私にもいま、そうする権限がある、ということにもなりますが、私は徹底的に議論をつくすほうを選びたいと思っています。