みなさんプレゼンは得意でしょうか?
私は苦手です。
なぜみんながあんなにスラスラ喋れるのかわかりません。これまで株式会社Misocaの経営者として何度も人前で話してきましたけど、そもそも普通の会話や電話ですらスラスラしゃべることは難しいです。
そんな私ですから初めて大勢の前で話した2009年のOSC Nagoyaというイベントではマイクを持つ手と声が震えてしまい、頭も真っ白になって非常に恥ずかしい思いをしたのは忘れられません。
しかし今回RISING EXPOというイベントで、250名の投資家や大企業の方を前に話すことになりました。
そしてピッチコンテストで、優勝こそ逃しましたがGoogle賞、SMBC日興証券賞という名誉な賞を受賞するという結果を残すことができました。
今回きちんと準備をして望んで、なんとか合格点は出したとおもいますので、今後のためと私のような話下手のためにコツのようなものをまとめました。資料作成やプレゼンテーションの構成の参考になれば。
他人のプレゼンを見まくる
Infinity Ventures Summitの動画やTEDの動画を50本以上見ました。まず自分と合ったタイプのプレゼンターを見つけてみましょう。
下記3本は私が今回一番参考にしたプレゼンです。KIDSLINE、スペースマーケットのお二方はさすがという感じですし、Tsutomu Uematsuさんのプレゼンはスラスラ話すことなんて全然重要じゃないと学ばせてもらいました。
プレゼンの目的・優先順位を決める
まず目的を決めます。すべてのプレゼンの大目標は「終了後に聴衆に動いてもらうこと」です。
今回の場合はピッチのコンテストでの優勝です。私が話す場合は他にも「サービスへの登録」「会社への投資」「提携」などがありますが、今回の場合は「優勝」(投票してもらうこと)としました。
これによってどういうスライドが必要で、どういうスライドが不要かということが決まってきます。他の人と内容を練るときにも、目的が明確だと話が早いです。
ストーリー(物語)を作る
骨組みを作る
ストーリーは「起承転結」と言ったりしますがあれはプレゼンでは当てはまりません。
プレゼンでは「なにが」「どうやって」「どうなる」が一番重要です。
Misocaの場合は「非効率な請求業務を、クラウドサービスMisocaを使うことで、効率化と新しい価値の提供を実現する」となります。
あとはこれらをそれぞれ詳細化していきます。
非効率な請求業務 => 世の中のまだ7割がアナログ・郵送にかかる隠れたコストなど
Misoca => 無料・数々の自動化のための機能・すぐれたUX
効率化と新しい価値 => ユーザーの声・FinTech領域への取り組み
聞いてもらえるスライドにするために
インパクトのある具体的な数字を最初に持ってくる
「これは聞く価値のあるプレゼンだ」と思ってもらい、集中力を高めてもらいます。
個人的な話を盛り込む
「これは私自身の○という体験から〜」「私は3人の子供がいて〜」という情報があると、なぜこの人がこの話をするのかという説得力になります。
Misocaの場合だと私がフリーランス時代に毎月不便を感じたということや、エンジニアで自動化に関するこだわりがあるという話をするようにしました。
具体的な画面を早めに見せる
具体的な物や画面をできるだけ早く見せます。聞いている方の「で、どういうものなの?」という疑問は早めに消して話に集中してもらうためです。
客観的な意見をどんな小さいことでも入れる
客観的な情報を入れるのは当然ですが「意見」や「声」も入れることが大事です。著名人の意見でないと意味が無いと思われるかもしれませんが、そんなことはないのです。
一人でもリアルに存在するとイメージしてもらうことが大事なのです。
ストーリーをスライドに落としこむ
まず手書きで書いてみます。
その後、パワーポイントやキーノートでつくります。コツは1枚1枚作りこまずに先に1スライド1行だけ要点を書いて全体を作ってしまうことです。
また、1スライドで1メッセージになるようにします。1メッセージ以上あると覚えにくいし、聞く方も聞きにくいです。
スライドを作るのには時間がかかります。私の場合は何度も作りなおして最終的に1枚2時間ぐらいかかっています。ですのでスライドの作りこみは話すことを決めてからにしましょう。
話すことを一言一句決める
話すことを一言一句、一文字単位で書き出します。最終的に丸暗記するのですが、ここできちんと書き出していないのと丸暗記の時に自信がもてません。
人にみてもらう
人に見てもらいます。これは一番嫌な作業ですが一番重要かもしれません。
私はMisocaメンバーに「よかったところ」「思ったこと」「きになったコト」などを書き出してもらいました。これで特に早口だったこと、抑揚が付けれてなかったこと、文字が小さかったこと、主張が分散していたことを直せました。
練習して丸暗記する
あとは丸暗記して練習です。
私の尊敬するプレゼンがめちゃくちゃうまいIさんは、300回以上練習したこともあるそうです。普段から話がうまいIさんですら300回ですから、普通の人が100回や200回練習したところで多すぎるということはありません。
私は自分で録音しながら50回以上練習しました。本番前日は朝5時から夜まで練習しかしていませんでした。本当は100回ぐらいはしたかったのですが、時間がとれず・・・
私の緊張対策
一番の緊張対策は練習ですが、それでも何か対策をしておくと、対策をしたということ自体が安心につながると思います。
頭が真っ白になったらどうするか決めておく
今回の場合は壇上に立って、もし頭が真っ白になったら「ライジーング・・エキスポー!」とこのイベントのお決まりの掛け声をやろうと思ってました。
他にも「水を飲む」「◯の話をする」など、どうするか決めておくことで「真っ白になって大丈夫」と思えるのが大事だと思います。
こんなチャンスは二度とないと思う
緊張すればするほど、こんなに自分の限界に近い舞台に来れて本当に幸せだなと思います。この舞台に来たいと思っていた自分、来たくても来れなかった人たちのことを考えて楽しまなきゃと考えましょう。
家族やメンバーの写真を見る
私はつい「まぁ、失敗してもいいや」と逃げの気持ちになるのですが、そんな時は携帯で家族や会社のメンバーの写真を見ます。私みたいな人間に期待してくれている彼らや彼女らにいい結果を持って帰ってあげたいと思うと、勇気が湧いてきます。
スタートアップのピッチで伝えるべきこと
私の考えるスタートアップのピッチで伝えるべき一番大切なことはこういうことです
「なんであなたがやる必要があって、なぜあなたなら出来るのか」
もっというと
「こいつら、馬鹿だから理屈抜きで燃え尽きるまでやりそうだな」
と思ってもらうことです。
大企業に対して、ヒト・モノ・カネで負けているスタートアップになぜチャンスがあるかというと、大企業にはない確率の低い、変なことを信じている集団だからだと思います。
Misocaの場合は「タブレットだけで企業間取引が終わる」「請求した瞬間にお金が入ってくる未来」「政府発行の通貨以外の対価で取引される未来」といったものです。これらのアイデアは私しかもっていないものではありません。でもこれを心の底から信じているは少ないし、それに人生を費やそうとしている人も少ない。だから他の人は協力したくなると思うのです。
まとめ
役に立つかどうかはわかりませんが、私なりのやり方というのをまとめました。
スマートにやろうとするほど「感情」をおろそかにして、発表者の気持ちや、プロダクトの利用者の声などを疎かにしがちです。しかし実際には、利用者の声、デモ画面などを見てもらって聴衆の頭のなかにプロダクトやその周辺の想像ができるようにすることが大切なのです。
目的は「終了後に聴衆に動いてもらうこと」そして、練習!練習!
口下手なみなさん、一緒に頑張りましょう。