インディーズから商業出版へ!「アニウッド大通り」誕生秘話・記伊孝さん独占インタビュー(2/5)──父親と息子の二つ視点を、絶対曲げたくなかった

『月刊群雛 (GunSu) 2014年09月号』には、インディーズから商業出版を果たした『アニウッド大通り』の作者で、漫画家の記伊きい孝たかしさんの独占インタビューが掲載されています。なぜインディーズだったのか、どんな苦労があったのか、いろいろ突っ込んだお話をお聞かせ頂きました。第2回め。

月刊群雛 (GunSu) 2014年09月号』には、インディーズから商業出版を果たした『アニウッド大通り』の作者で、漫画家のさんの独占インタビューが掲載されています。なぜインディーズだったのか、どんな苦労があったのか、いろいろ突っ込んだお話をお聞かせ頂きました。第2回め。

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父親と息子の二つ視点を、絶対曲げたくなかった

── ちょっと突っ込んだお話なんですが、記伊さんの漫画家デビューは講談社からですが、仕事の進め方や編集者とのつきあい方は星海社と違いますか?

記伊 (星海社さんは)作品自体にはノータッチなんですよ。出来上がったモノを評価して頂いたという形で。そうでないとたぶんこの作品は、形にはならなかったと思ってます。打ち合わせをしていたら、この形にはならなかったでしょう。変わってしまうというか、意図しないというか......絶対にこの形にはならなかったと思うので、出来上がったモノを評価して頂いたのは、すごくありがたいなと思ってます。

── あ、そうか。雑誌連載だとネームを切って、編集者さんと打ち合わせをして、という形ですよね。

記伊 否応なしに雑誌(のカラー)に合わせなきゃいけないという宿命があるので、その時点で今回のような作品は無理だったと思います。今だったら分からないですけどね。当時は絶対これは無理だろうと思ってました。

── そうなんですね。

記伊 どういうわけか、父親と息子の二つ視点で進めたいな、というか「これしかないんじゃないか?」と思い込んでしまって。そこだけは絶対曲げたくなかったんで、だから打ち合わせとかそういうのはせずに書いてしまおうと。

── 確かに、アニメ監督の父親視点と、息子視点と、各話ごとに違ってますよね。

記伊 職業モノにするにはまだ早いと思ったんです。このテーマで職業モノにして載せられる雑誌は、まだないだろうと。

── あ、そうなんですか。

記伊 うん、年齢がどうしてもちょっと上になっちゃうんですよね。演出家になるっていう時点で、三十歳オーバーくらいになってしまうんで、そうなるとどうしてもちょっと主人公として「おっさん」でどうなんだろう? という感じで。成人誌とかだったら別なんですけど。ああいうところは逆に、レベルも高いというのがあって。だからそういう職業モノにはしたくなかったんですよね。

── なるほど。この作品って、1980年代後半くらいを舞台にしていますよね。ボク自身読んでいて、子供の頃の原風景というか、すごい身近に感じられたんですよ。団地の描写が、なんか生々しくて。

記伊 あははは。そうやって言って頂けると、非常にありがたいですね。

── あ、この光景どこかで見たことある! っていう懐かしさがあります。

記伊 知ってることだけで描いてるんですけどね。それが一番「嘘がない」というか。

── そうすると、打ち合わせで星海社さんに行ったりってことは、滅多にないわけですか。

記伊 そうですね、今やってる表紙のデザインなんかは「こうした方がいいんじゃないか?」とかはあるんですけど、それも(こちらから)全部出した上で「こういうふうにした方がいい」みたいな感じなんで、最初からこう、打ち合わせをするとかそういうのはない感じですね。ただ、それがいいのか悪いのかは、まだ分からないんですけどね(笑)

〈続く〉

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