「砂糖は摂り過ぎると脂肪に変わる」という常識は、本当は間違ってる。

一体何を信じるべきか分からなくなってきます。

今週は、肥満予防にこまめな家事を、ということと、糖質制限ダイエットの落とし穴について書いたのですが、その際に、色々な、しかもそれなりに信用できるはずのサイトにも、「エネルギーとして消費されなかった糖質は中性脂肪として蓄積され」といった記述が多く見られたことに、なかなかのショックを受けています。既に常識レベルで知られているこの話、完全にウソと言うわけではないのですが、実際そんなに簡単に起きる現象じゃないはずです。

堀米香奈子 ロハス・メディカル専任編集委員

ちなみに、冒頭に例として引用したのは、厚労省の「e-ヘルスネット」という「生活習慣病予防のための健康情報サイト」の記述。出典も載ってますから、おそらくそちらにそう書いてあったのでしょう。

さらにショックなのは、日本医師会のサイト。「炭水化物(糖質)」は、「とり過ぎると、そのぶんは脂肪として必要以上に体に蓄積されます」と、こちらもがっつり書いてあります。

この2つの「日本の医療の親玉」みたいな組織の記述が、素人の思い込みと同レベルだったら、一体何を信じるべきか分からなくなってきます。が、実際にはおそらくそうではなくて、素人向けに難しいところを端折った結果なのかもしれません。でも、正しくはない。

もちろん私も以前は「摂り過ぎた砂糖が脂肪になって太る」と信じて疑っていませんでした。でも、よくよく考えれば、砂糖と脂肪って、元々相当違うものですよね。その両者の間の変換には長いプロセスや壁があって当然で、「糖からグリコーゲンが作られて備蓄エネルギーとして肝臓に蓄えられ、それがまた糖になってエネルギーとして使われて」、みたいに簡単に置き換わるはずがないのです。だから「糖質は太る」の実際のところは、「肥満予防には ジム通いより掃除」の記事に書いた通り。

要するに、中性脂肪になりやすいのは、砂糖なんかより、食べ物に含まれる脂質に決まっています。だってほぼ同じものですからね。それを助長するかどうか、どの程度助長するかが、糖の摂り方と体の利用具合で変わって来る、ということなのです。

もちろん、プロセスはどうあれ、砂糖を摂り過ぎれば、肥満という結果に変わりはありません。でも世の中、砂糖をちょっと悪者扱いし過ぎだなあ、とも思うのです。

ちなみに「低脂肪食ダイエット vs. 低炭水化物ダイエット」というロバスト・ヘルスの記事も、改めて読んでみると「へえ」ですね。低脂肪とか低糖質とか、極端に偏った食生活は、目的を持って一時的に採り入れる分にはいいかもしれないけれど、やっぱり真に健康的とは言えないんだな、ということがお分かりいただけると思います。

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(2017年10月27日「ロバスト・ヘルス」より転載)