朴槿恵大統領の「告げ口外交」とその効果

『週刊ポスト2013年11月29日号』に掲載されていた「朴槿恵・韓国大統領の告げ口外交 外向的儀礼欠くと米研究者」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

『週刊ポスト2013年11月29日号』に掲載されていた「朴槿恵・韓国大統領の告げ口外交 外向的儀礼欠くと米研究者」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

「韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は11月2~8日の日程でフランス、イギリスなどを公式訪問する欧州歴訪を行」い、「そこで朴氏は反日を猛烈にアピール」したことを受けての記事です。

例として仏フィガロ紙のインタビュー、英BBCのインタビュー、「ファンロンパイ欧州理事会常任議長(EU大統領)との会談後の記者会見」などでの日本批判を挙げております。

米有力シンクタンクの上級研究員(記事では、シンクタンク名も研究員の名前も明示されていません)が「こうした『告げ口外交』は外交的な儀礼を欠いていると呆れ」ているそうです。

その方は、「第2次世界大戦の戦勝国を訪問しては敗戦国である日本の悪口を言いふらすというのは、いかにも中堅国家だからできること。品格のある大国のリーダーがやることではありません。フランスの大統領が外国を訪問し、わざわざドイツの悪口をいったことがあるでしょうか。やれば間違いなく品位を疑われる。

そんな情けない外交をして損をするのは韓国自身です。幸いにも朴大統領が言い回るので、各国は慰安婦問題について学び、正確な知識を持ちつつある。日本は国際社会における主要パワーです。その程度の"告げ口"で、戦後、世界に貢献してきた日本を貶めようとする国などあるはずがない」と述べていると終わっています。

2 「告げ口外交」

確かに言われてみれば、絵にかいたような「告げ口」で、とても自分だけでは日本に太刀打ちできないから主要国を訪問した際に、助けてくれと訴えているようなもので、自国の力不足を露呈しているととられても仕方ありません。

実際、これまでも韓国は慰安婦問題などで、アメリカを巻き込んでおりますが(韓国に「慰安婦問題」で巻き込まれるアメリカ韓国に「慰安婦問題」で巻き込まれるアメリカ2)、正直アメリカにしてみれば良い迷惑で、今回の訪問国も殆ど同じ反応だったかと思います。

国際政治で大事なのは、いかに自分が正しいか(正確には正しそうに見えるか「領土問題における「真実」らしさの重要性」)ということを他の国了解してもらうことなので、各国に対するロビー活動(含む広報・宣伝活動)は極めて重要です(レスリング除外から見るロビー活動の重要性と日本外交)。

そういう意味で、日本が今回竹島問題についてyou tubeに投稿を行ったことや、慰安婦問題で橋下大阪市長が慰安婦問題できちんと反論を行ったことは意味のあることと考えております(橋下市長が慰安婦問題について会見した意義)。

3 宣伝活動

斯様に宣伝活動は行わなくてはならないわけですが、問題はやり方で、話を戻しますが今回の韓国のように一国のトップが外遊先でひたすら対日批判を繰り返すのはどうかという話です。

間違いなく、日本と韓国との関係がうまくいっていないということは、各国も認識したでしょうが、どこまで日本外交に影響を与えたかというと疑問です。

それに本来首脳が外遊し、会見する貴重な場では、本来当時国同士の最も重要な問題が話されるべきですが、その時間が割かれてしまっていることも意味します。

斯様にどれだけ効果があったか正直疑問なわけですが、これだけ執拗に日本に対する抗議を繰り返しているということは、頑張って世界各国に日本の非を訴えているという、韓国内向けのアピールが主な目的なのではないかと思ってしまいます。

4 最後に

自分でいろいろ考えて行動しても裏目に出たり、いろいろやり過ぎてしまうことはよくありますが、それに気付かないことも往々にしてありがちです(日本の「度量」と同調性)。

その際、視点を変えてみることが大事で、元記事ではドイツとフランスの例が出ておりましたが、日本が同じこと(安倍首相が欧米を訪問した際に、ひたすら韓国批判を繰り返すという行為)をしたら他国が本気で相手にしてくれるのか考えてみればわかることかと思います。

国内向けのパフォーマンスとして、一部の方からは熱狂的に歓迎されるかもしれませんが、長期的に訪問国との外交ということを考えた際に、明らかに邪道で、良い影響を及ぼさないと考えます。

P.S

最初に触れている様に、今回の元記事では、シンクタンク名も研究員の名前も明示されておらず、記事として如何なものかと考えます。

また、ここでアメリカの研究者の意見を紹介するところが、どことなく朴大統領と同じく、欧米のパワーに依拠しようとしているようで、あまり好ましいこととは思いません。

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