自分をかわいく見せたい、というのは多くの女性が思うこと。
インスタでの自撮りアップやプリクラのデカ目機能など、「かわいく加工する」技術や風潮は日々高まっている。
でも、『寝起き女子』や女子のための新しいかたちのヌード『脱いでみた。』で話題のフォトグラファー花盛友里さんは「魅力的な人こそ、自分をよく見せないんです」と言う。
星の数ほどの女性を撮り続けてきた花盛さんが、思わず撮りたくなる魅力的な女性ってどんな人なんだろう? 詳しく聞いてみました。
自分の「いい顔」をわかってない子が好き
花盛 一言で言うと、自然体でかっこいい人。ただ歩いているだけでもいい雰囲気を持っている人はやっぱり撮りたくなる。
「自然体」って難しいと思うんですけど、例えば多くの人は、笑顔じゃないとダメ、目が大きくないとダメ、キメ顔じゃないとダメ......って、何かしら「自分的なこだわり」がありますよね。
その気持ちもわかるんだけど、私は「めっちゃ変な顔だな〜」と思っていても、「ま、いっか」って言える子が魅力的だなと思っていて。
そういう子って「全部ひっくるめて自分だよね」って思っている。
どんな状態でも自分は自分で、それでいいんだ、と思える人ってやっぱり素敵ですよね。
―花盛さんが作品を撮る時のモデルさんも「自然体な人」を選んでいるんですか?
花盛 そうですね。「撮られ方を知っている人」はあまり撮影しないかもしれません。
自分の”いい顔”がしっかりわかっていて、インスタでアップされている顔がいつも同じ角度とか。キメ顔じゃないと自分を出すのが不安っていう子は、撮っていてもちょっとつまらない。
なので、作品で撮影するのは、撮られ慣れていない一般の女の子や、カメラを向けられても自然体でいられるモデルさんが多いです。動きながらその子のいい瞬間を探す作業がすごく好きなんです。
インスタとかSNSには基本賛成だけど、今は加工だって自由にできるし、”自分を出しながら隠している”現状があるなと思っていて。
いい顔も変な顔ももっと楽しめばいいのに......そういう部分ではもったいないと感じています。
―でも自然体でいいと思えるって、すごく難しいですよね......。
花盛 はい。私もできてないし、そうなりたいと思っているところ(笑)。特に若いうちは難しいかもしれない。
だから、『寝起き女子』や『脱いでみた。』などの作品を通して、本当に何も手を加えていない「自然体」の女子の魅力を感じてもらえたら嬉しいです。
最近、『寝起き男子』も撮っているんですけど(『寝起き男子』のインタビューはこちら)、男子より女子の方が撮っていて興奮するな〜と改めて実感していて(笑)。
もちろん男性を撮るのも楽しいんだけど、女子に対して思うような「やばい、めっちゃかわいい!死にそう!!」っていうのはないかも。
女子ってその瞬間瞬間で表情が全く違うし、本当に奥深い。あとは私自身が女性で「当事者」だからなのかも。
同じ女性としてこうありたいとか、羨望のような感情が入っているから、モデルたちがキラキラ見えるのかもしれません。
自分を知るきっかけが「ヌード」になったらすごく嬉しいし、おもしろいと思う
―来年2月には『脱いでみた。』の個展を開かれると伺いました。
花盛 はい。2月16日〜21日に渋谷の「ギャラリー・ルデコ」で開催予定。個展自体はこれで3回目なのですが、規模は一番大きくてめっちゃ緊張してます。
だけど、これまで以上に面白いことになりそうっていう確信もあって。今までの全てをかけて取り組みたいなと思っています。
まだまだ構想段階だけど、例えば写真をただ飾るだけじゃなくて、ものすごく大きな写真があったり、その中にすごーく小さい写真が混ざって飾られていたり、天井から吊るされていたり、あとはただ写真をカラーコピーしたものを壁にペタペタ貼ってあったり......。
写真を見るだけだったらネットでも見れちゃうので、空間としても楽しめるようにしたいなと思っています。
ヌードだけど、子連れも大歓迎。私も土日は息子を連れてくる予定です。
―子連れもOKなんですね!(笑)
花盛 もちろんです! よく「どんな人に来てもらいたいですか?」とか聞かれるんですけど、「みんな!」って答えています。女の子ひとりでもいいし、男の子同士でもいいし、カップルでもいいし、親子でもいい。
ヌードというと、男性のためのキメキメのモノをイメージする方が多いと思いますが、こんな自然体なヌードもあるんだなと知ってほしい。これなら全然ありやん!っていろんな人に感じてほしいんです。
花盛 最初にもちょっと言いましたけど、脱いでくれる子って一般の子が多いんですよね。
その子たちが写真を見て「自分の体ってこうなってんねんな。意外と素敵じゃん」と感じてくれたら最高だなと思って撮ってます。
だから今回の個展を見て「じゃあ私も脱いでみようかな」っていう人が増えてくれるといいなと。
この「自分は自分でいいんだ」っていう感情って、間違ったら開き直りとか、諦めとかにも捉えられるんですけど、全然そうじゃない。自分を知って、受け入れるってすごく大切でポジティブなこと。
そのきっかけになるのが「ヌード」だったらすごく嬉しいし、おもしろいですよね(笑)。
《個展開催情報》
日程:2016年2月16日(火)〜21日(日)
場所:ギャラリー・ルデコ
住所:〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-16-3 ルデコビル1F
時間:11:00〜19:00(月曜休廊日)
電話:03-5484-5188
(2015年12月22日「QREATORS」より転載)