航空券と原油バレルで極貧をなくすには

世界の開発と極貧に終止符を打つためのもっとも大きな課題は財源確保です。
Courtesy Katherine Keating

パリの空港からひとりの乗客が飛びたつ度に、3人の子供をマラリアから守ることができます。なぜそんなことができるのでしょうか。答えはユニットエイドです。ユニットエイドは地球規模の保健機関で、世界の開発に充てる財源を増やすべく、まったく新しい資金調達を活用しています。具体的には、低所得国でHIV/エイズ、マラリア、結核の治療・診断へのアクセス拡大を目指しています。革新的資金調達は対象となる金銭のやりとりの際に少額を取り分けるという財源確保の形です。まさに保健、教育、食糧、その他開発ニーズに的を絞った税です。

では現実に革新的資金調達はどのように機能しているのでしょうか。フランス、または他の10か国から離陸するフライトに、ユニットエイドのため、1ユーロ程の税がチケット料金に加算されています。この税は消費者にはほとんど影響がなく、航空券の販売にもまったく負の影響はありません。この戦略を使って、ユニットエイドはわずか8年間に25億ドルを超える額を集めました。ユニットエイドのおかげでHIVに感染している子供たちの10人中8人がしかるべき治療を受けています。(2006年には1万人だったものが現在では70万人)。さらにユニットエイドの資金で、3億5100万のマラリア治療が確保され、結核に感染している子供たちにも同様の治療がもたらされています。

ユニットエイドはフランス大統領ジャック・シラクとブラジル大統領ルーラによって編み出されました。ユニットエイドのトップは、ニコラ・サルコジ大統領時代に外務大臣を務め、現国連事務総長特別顧問を務めるフィリップ・ドスト=ブラジです。フィリップ・ドスト=ブラジとサルコジ大統領のユニットエイド支持が功を奏し、フランスは今、ユニットエイドの最大ドナーとなっています。2006年にフランスに導入された航空券税だけで、これまでに合計10億ユーロ超を計上しています。

クリントン大統領は、フランスはユニットエイドを介して、世界への慈善寄付をまったくの別物に改革したとし、多くの命を救った「プライスレスの贈り物」と評価しました。世界中の人々による小さな貢献が大きな力になることが証明されています。

2012年3月、サルコジ大統領は新たな革新的資金調達実施のための法律を通過させました。これが金融取引税(FTT)です。FTTは株、債券その他有価証券の全ての取引に小さな税をかけるもので、もしこれを高所得国で実施すれば国際開発に使える莫大な収入をもたらします。航空券にかける1ユーロ税のように、FTTは大多数の個人、団体にとって気にもならないほどのものです。フランソワ・オランド大統領はすでに税額を倍にし、さらに10か国がFTT実施を約束しています。つまり、フランスはFTTから得た資金で世界の貧困と戦うことを約束している唯一の国です。

2014年9月、ユニットエイドは新たな革新的資金調達イニシアティブの立ち上げを発表しました。UNITLIFEと名付けられた、採掘資源、特に石油への税です。コンゴ共和国のドゥニ・サス・ンゲソ大統領は、自国で採掘された1バレルごとに10セントを拠出すると発表しています。もしアフリカで8か国がこの税に賛同したら、オイル税から年間1-2億ドルが得られると期待できます。この資金は特に、アフリカの子供たちにとって死のリスクの最大要因である慢性的栄養失調の予防策に投入されます。

世界の開発と極貧に終止符を打つためのもっとも大きな課題は財源確保です。ミレニアムゴール達成は意志の力の問題ではなく、財政投資が肝心です。健康管理、教育、テクノロジー等々、全てにお金がかかります。各国政府が約束した財政的コミットメントのフォローが途中でストップしてはミレニアムゴールは達成できず、実際達成には至らないだろうとみられています。しかしポスト2015のアジェンダに学ぶべきレッスンがあります。この争点に関しては公的約束が重要なのです。

あなたが個人としてこの話に関わることができる道があります。グローバル・シチズンは、同税実施を約束した国々に対して、フランスに続いてFTTの30%を開発と貧困を減らす努力に使うよう奨励するキャンペーンを行っています。あなたの声をキャンペーンに届かせてヨーロッパの財務大臣らがこの動きに同調するためにも、ぜひこちらのサイトをお尋ねください。

インダビューの最後に、革新的資金調達とユニットエイドについて、フィリップの議論はひとつの明確な点に至りました。政策を承認するのは各国政府の責任ですが、有効な政策に政府が目を向けるようプレッシャーをかけるのはグローバル・シチズンの役目です。フィリップが私たちに語ったように、ユニットエイドの活動が実を結んでいることは証明されているのです。

このブログは、ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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