「私けっこう人見知りしてしまって、、、」「恥ずかしがりなもんで、、」
職業柄たくさんの人に出会うなかで、このように対人関係にはあまり積極的ではないというアピールをする人は少なくない。もちろんその気持ちはよく分かる。僕も知らない人と打ち解けるには時間を必要とするし、講演会などを開催してもらっても毎回緊張する。「何事にも節度を持ち、出過ぎない」という我々が備えている感覚は、個人的にはとても良いことだと思うし、大切にしなければいけないところではあると思う。
特に雑誌の撮影をしている時など、どうしても写真に人が入り込んでほしいタイミングがある。その時は勇気を出して「あの〜、すみません。◯◯◯という雑誌なのですけど、よろしければ写真に入って頂けませんか?」という具合にお願いをすることもある。大抵の人は「え〜、まぁいいですけど〜」と困惑しながらも協力してくれたり、「いやちょっとごめんなさい」とハッキリと断ってくれる。わかり易い対応はこちらとしてもやはり助かるものだ。
しかしながら「いやいや!私なんか全然ですよ〜」とハニカンだ笑顔で渋々了承してくれたにも関わらず、カメラを向けると途端にノリノリになる人がごく稀にいる。いや結構いる、、。
写真に写る時のキメ顔やポジショニング。常に的確に中心というか、必然的に目立つところを心得ているとしか思えない機敏な動き。最初の大袈裟な遠慮っぷりはフェイントなのだろうか?そういう人を客観的に見ていると、最初の言動と裏腹な行動のギャップがけっこう楽しかったりもする。
パプアニューギニアのトゥフィという海域では、写真のレッド・ピンジャロスナッパーの群れが名物とされている。こちらのお魚も遠目で見ている時の体色は灰色がかった白色。群れの形は美しいがとにかく地味な魚で、こちらが追う素振りをみせるとサーッと逃げてしまう。しかしながら泳ぐコースを把握し静かに待機していると、目の前までわざわざ近づいてきてくれる良い奴なのだ。しかもあれほど地味だった身体を真っ赤に染め上げてやってくる。一体最初のよそよそしい仕草は何なんだ。目立ちたいのか目立ちたくないのか、ハッキリしてくれ!と思ったりもするが、それが生き物と対峙することの、面白いところなのでしょうね。
◯ Text by 水中写真家 古見きゅう
東京都出身。本州最南端の町、和歌山県串本にて、ダイビングガイドとして活動したのち写真家として独立。 現在は東京を拠点に国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しさやユニークな生き物などを切り撮り、 新聞、週刊誌、科学誌など様々な媒体で作品や連載記事などを発表している。著書に海の生き物たちのコミュニケーションをテーマとした写真集「WA!」(小学館)などがある。 2012年には自身初となる海外での個展も開催した。
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*パプアニューギニア*
パプアニューギニアは、赤道のすぐ南に位置しており、日本から直行便で約6時間30分の距離にあります。世界で2番目に大きな島、ニューギニア島の東半分をはじめとする600の島々からなり、南太平洋最後の楽園と言われ、そこには美しい海と、山々の深い緑、長い歴史の中で受け継がれた伝統の文化が息づいています。自然と触れ合う旅、文化を探訪する旅など、パプアニューギニアでは、様々な旅の楽しみ方が皆様をお待ちしています。
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