昔ながらの喫茶店で飲むコーヒーはタイムトリップしたような気分が味わえるし、流行りのこだわり系カフェで飲むコーヒーは今まで知らなかった味覚に出会える。どちらも捨てがたいが、インスタグラムでの流行は自宅でコーヒーを愉しむ「うちカフェ」なのだという。
そこで「男のうちカフェ」を実践するためのノウハウを調査してみた。
#うちカフェ
2016年10月時点で「#うちカフェ」のインスタグラム投稿は約128,000件。コーヒーの写真もあればカフェごはん風の食卓写真もある。そのなかでひと際目を引くのがフォロワー数112,000を超える超人気アカウントcafenoma(@cafe_no_ma)の写真だ。
さっそくcafenomaの刈込さんと弓庭さんにインタビューし、うちカフェの楽しみ方を伝授してもらった。
▲お店にしか見えないくらい本格的なインテリア
インタビューにお邪魔したのは横浜にある「cafenoma」のオフィス兼自宅。インスタグラムで覗いていたあの世界が目の前に!! 窓からは横浜の海が一望でき、室内は隅々までこだわり抜かれたインテリア。あまりのステキな暮らしぶりを目の当たりにして、興奮を隠せない......。
――まずはcafenomaについて教えてください。
刈込:僕と妻、2人でやっているクリエイティブユニットです。妻が以前からコーヒーとコーヒーにまつわるグッズが好きだったので、コーヒーをテーマに発信していく活動を4年前からしています。妻がグッズセレクト、僕が撮影をしています。
――夫婦のユニットなのですね。奥様の弓庭さんはいつからコーヒーグッズが好きだったのですか?
弓庭:実家に海外のマグカップがあったり、小さい頃から喫茶店に連れて行ってもらったりと、幼少の頃からコーヒーグッズにふれる機会が多かったように思います。
▲ご両親が使っていたコーヒーカップも現役で活躍。いいものを長く愛用するのがcafenoma流
――幼少の頃から培われたセンスなのですね。インスタグラムではすごいフォロワー数ですが、工夫していることなどありますか?
刈込:全体のトーンや、構図にはこだわっていますが、投稿する写真にはあまりメッセージを込めたくないと思っています。インスタはノンバーバルな世界なので、写真で何か感じてもらえばいいというか......。共感する人に見つけてもらえればいいという思いでいます。
――インスタグラムをはじめて変わったことがあれば教えてください。
刈込:「cafenoma」というブランドで仕事が増えてきたことですね。住宅メーカーとタイアップし住まいのアイデアを提案したり、プロダクトブランドの商品撮影&スタイリングのご協力などをしてきました。昨年、『うちカフェ -自宅で楽しむ本格コーヒーとカフェインテリア』(マイナビ出版)という本も出版しています。
▲昨年出版された著書には家でコーヒーを楽しむアイディアが満載だ
――すごいご活躍ですね!「cafenoma」の活動を通して伝えたいことは何なのでしょうか?
刈込:あまり意識していないのですが、しいて言えば"家時間を楽しく、大切に"ということかもしれません。北欧ではコーヒーの消費量が多いんです。寒いからみんな家にいてコーヒーを飲む。コーヒーは1日の生活に組み込まれている普通のことなんですが、それをていねいにすることで、毎日やっていることが特別な時間になる。
弓庭:コーヒーを淹れている時間も楽しいんですよ。毎日忙しいからこそ、その時間は空っぽになれるので。
▲コーヒーをいれる時間もちゃんと楽しむ
――なるほど、コーヒーを軸にした「時間」を大切にされているのですね。だんだんとコーヒーの世界にハマっていったという刈込さんですが、こだわりの飲み方などがあれば教えてください。
刈込:産地ごとに飲み比べてみたり、1種類のコーヒーを「ペーパードリップ」「フレンチプレス」「水出し」と抽出方法を変えて飲み比べたりしています。生産者・時期・標高などを記載して自分なりのマッピングを作ったりもしています。
「cafenoma」の活動を通してすっかりコーヒーに魅せられた刈込さん。そんな刈込さんにいろいろお気に入りのグッズを教えてもらった。これから「うちカフェ」に挑戦するなら必見だ。
■コーヒー豆┃「27 COFFEE ROASTERS」(辻堂)の豆
同じ豆でも焙煎したお店や人によって全く味が変わるが、刈込さんが行き着いたのは辻堂にある27 COFFEE ROASTERSの豆。毎月定期便で購入するほどお気に入りなのだという。
■水出しコーヒーサーバー┃IWAKIの「SNOWTOP」WATER DRIP SERVER[Uhuru]
普段は夫婦で相談してからグッズは購入するという刈込さんだが、これは一目惚れで衝動買いしたそう。理科の実験っぽいフォルムはオトコゴコロをくすぐるのだ。水出しで抽出してから温めるという飲み方もおすすめだそう。
■スイーツ
「Café de LENTO」(カフェ・ド・レント/元町)のりんご煮のタルト
「香炉庵」(元町)の黒糖どら焼き
「月よみ山路」(金沢)の栗蒸し羊羹
弓庭さんは和菓子とコーヒーのマリアージュがお気に入り。スイーツとの組み合わせも自由自在なのが「うちカフェ」の魅力だ。
■パン┃「パンとエスプレットと湘南」(旧店名「midi a midi」/辻堂)の食パン「ムー」
表参道にある大人気カフェ、「パンとエスプレッソと」の姉妹店。「日本の食パン名品10選」にも選ばれた食パンの「ムー」(300円)は病みつきになる美味しさだ。
▲食パン以外のパンもどれも美味しそうだ
■コースター┃「Lewis Store」(目黒)で購入した木のトレー
あえてコーヒーカップのソーサーを木のコースターにすると「うちカフェ」っぽくなる。セットアップし過ぎないのも「うちカフェ」のポイントだ。
■テーブル┃ラウンドテーブル
「cafenoma」の投稿に欠かせない真っ白いラウンドテーブル。ラウンドテーブルは上座下座がなく、椅子を増やしやすいのがお気に入りの理由だそう。
■ビンテージ家具┃「talo」(相模原)の北欧家具
数ヶ月に1回北欧からコンテナが届くのでその日に合わせて訪れるそう。家具だけではなく食器などの小物にも掘り出し物が多いという。
■本
『Coffee Hunting Note 100カップログ』(世界文化社/川島良彰)
『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか』(ポプラ社/川島良彰)
『コーヒー「こつ」の科学―コーヒーを正しく知るために』(柴田書店/石脇智広)
コーヒーハンターとして知られる川島氏の著書は初心者にもわかりやすい。石脇氏の著書は主観や感覚ではなく科学的にコーヒーを分析しており、読み進めるとコーヒーに関する疑問が一つづつクリアになっていく。
――カフェっぽいかっこいいインテリアにするために気をつけることはありますか?
刈込:3色くらい基本色を決めるといいですよ。我が家は「白・グレー・木」の3色を基調にしています。木が多すぎるとカントリーっぽくなってしまうのでテーブルを白にしたりしてバランスを取っています。
――実際のカフェを参考にすることはありますか?
刈込:もちろんあります。男性だったらブルックリンっぽいカフェをお手本にするとかっこいいと思いますよ。カフェに行って自分の家をイメージしながらインテリアを眺めるといろいろ参考になります。
――とても勉強になりました。またいろいろ教えてください!ありがとうございました。
ぜひ「cafenoma」流の「うちカフェ」の楽しみ方を参考にして、かっこいい「男の家カフェ」に挑戦してみてはいかがだろうか。そしてパートナーや家族にとっておきの一杯をふるまって欲しい。
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刈込隆二┃Ryuji Karikomi
大学卒業後、フランス留学を経て、1998年からコミュニケーションデザインに関するキャリアをスタート。2008年2月、オトノマ株式会社を設立、代表取締役に就任。アートディレクターを兼務。
弓庭暢香┃Nobuka Yuba
国際線CAとして自身のキャリアをスタートし、客室のチーフパーサーとしてファーストクラスなどを担当。延べ1万時間以上に及ぶフライトを経験する。オランダ、北欧諸国のインテリア・雑貨に精通。
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