先日、リオデジャネイロ・パラリンピックが終了しましたが、過去10数年でパラリンピックそれ自体がメジャーなスポーツイベントとして、地位を確立してきました。
しかし、パラリンピックの意義はスポーツに関することだけではありません。国際パラリンピック委員会(IPC)は、この点こそがパラリンピック独自のものと考えています。
2012年のロンドン大会で示されたように、パラリンピックは我々の障がいを持つ人々への向き合い方を変え、さらにはスタジアムに留まらず、社会を変革する起爆剤となりえます。
IPCのフィリップ・クレイバン会長は、今日のパラリンピックは社会的包容力を高めるためのことのできる、世界で1番のスポーツイベントであると訴えています。
パラ・スポーツの認知・関心の向上への道のりはまだ長いですが、多くのブランドが社会貢献への意識を強くする状況の中で、パラリンピックがそのようなブランドに貢献できることは確かでしょう。
◆ロンドン2012
ロンドン2012を契機に、イギリス国民の障がいへの向き合い方は大きく改善し、ロンドン・パラリンピックの直後、イギリス国民の3人に2人はパラリンピックが自分の障がいに対する意識や態度を再考するきっかけとなったと答えています。
※ロンドン2012が障がいに対する意識を変化させるきっかけとなったと思う人の割合
・2012年5月:34%
・2012年9月:64%
そして、62%の人がロンドン2012に関する報道に関心を持ち、大会自体は2008年の北京に比べ、3倍の視聴者数を獲得しました。
一般的なテレビ観戦者の興味は、スポーツそのものからパラリンピックのイギリス代表選手を応援し、彼らがいかにスポーツを通じて障がいを乗り越えるのかという点に変化しました。
それ以降に開催されるパラ・スポーツイベントに興味があると答えた人の割合は2倍に増え、27%から43%となりました。そして、42%の人がこれからもパラリンピックに関する報道に関心を持つだろうと答えています。
◆パラ・スポーツの商業化
パラリンピックへの長期的な関心の向上に加え、IPCは、世界中で行われている他のパラ・スポーツ大会への認知・関心の向上にも尽力しています。
2017年は、ロンドンでのパラ世界陸上選手権やメキシコでのパラ世界水泳選手権など、一連の世界大会の開催が予定されているため、非常に重要な1年となります。
※パラ・スポーツの主要イベント2016~2017
・2016年8月 リオ2016パラリンピック(ブラジル)
・2017年1月 IPCアルペンスキー世界選手権 (タルヴィージオ/イタリア)
・2017年2月 IPCノルディックスキー世界選手権(フィンステラウ/ドイツ)
・2017年7月 IPC陸上世界選手権(ロンドン/イギリス)
・2017年9月 IPC水泳世界選手権(メキシコシティー/メキシコ)
・2017年9月 IPCパラ・ウェイトリフティング世界選手権(メキシコシティー/メキシコ)
これらの活動を続けていくことで、パラリンピックのスポンサー、ファン、放送局の三者間を繋ぐ架け橋になることが出来ると考えています。
パラリンピックは既に強力なコマーシャルパートナーを獲得している一方で、IPCは、各国のパラリンピック委員会に対しても商業的に発展できるよう支援しています。IPCの活動資金の約半分がパラリンピックで得られた収入です。
いくつかのワールドワイドパートナーは、多国の委員会ともパートナー契約を結んでおり、プロスポーツだけでなく、パラ・スポーツのグラスルーツレベルへの普及活動や、競技を気軽に始められる環境づくりを支援しています。IPCはこのような取り組みをグローバルに展開しています。