さまざまな植物の葉を食害するイラクサギンウワバの幼虫。Credit: gaurav_gadani/iStock / Getty Images Plus/Getty
細菌Bacillus thuringiensis由来の殺虫性タンパク質であるδエンドトキシン(Bt毒素)に対して耐性を持つ昆虫の出現によって、遺伝子操作でBt毒素を導入した作物の有効性の低下が懸念されている。
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今回D Liuたちは、ファージ補助型連続的進化(PACE)選択法を使って、高親和性のタンパク質-タンパク質相互作用を迅速に進化させる方法を開発し、この系をBt毒素に適用して、昆虫の消化管細胞にある新しい標的タンパク質[イラクサギンウワバ(Trichoplusia ni)のカドヘリン様受容体]に結合してこの害虫を殺す変異型Bt毒素を進化させた。
これらの変異型Bt毒素は、Bt毒素に対する耐性に打ち勝って効果を示し、その致死性は耐性を持たない昆虫に対する野生型Bt毒素のものに近かった。
Nature533, 7601
2016年5月5日
原著論文:
doi: 10.1038/nature17938
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