天然ガスの主成分であるメタンはクリーンで安価な燃料だが、ガソリンやディーゼルと比較して周囲条件下での単位体積当たりのエネルギー密度が低いことを考えると、輸送用途での有用性は貯蔵の問題によって制限される。メタンの貯蔵容量を増やす1つの方法は、貯蔵媒体として金属有機構造体などの多孔性材料が入ったタンクを使うことである。しかし、メタン分子が吸着・脱離するたびに熱変動を伴うため、対策をとらなければ過熱や貯蔵効率の低下が起こる恐れがある。今回J Longたちは、2種類の柔軟な金属有機構造体について報告している。これらの金属有機構造体は、特定のメタン圧力で可逆的に相転移するため、利用可能なメタンの貯蔵容量を従来よりも増やすことができる一方で、系の内部熱管理機能も担っている。
Nature527, 7578
2015年11月19日
原著論文:
doi:10.1038/nature15732
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