ゲノム塩基配列が解読された、直接発生型の腸鰓類クビナガギボシムシ(Saccoglossus kowalevskii)。
Credit: John Gerhart
ギボシムシは腸鰓類とも呼ばれる半索動物で、体が柔らかくて眼がなく、海底の軟らかい砂泥の中に生息している。そのゲノムには、棘皮動物(ヒトデやその近縁動物)や脊索動物(ヒトを含む)と共に構成する「新口動物」という大きな分類群の進化を解明するための手掛かりが潜んでいる。佐藤矩行(沖縄科学技術大学院大学)たちは今回、2種の腸鰓類のゲノム塩基配列を明らかにした。一方は直接発生を行う種、もう一方はプランクトン型幼生の段階を経る種である。
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他の動物のゲノムとの比較解析から、ナメクジウオ(原始的な脊索動物)をはじめとする左右相称動物と広範なシンテニーを示す領域が明らかになった。また、ギボシムシの咽頭鰓裂の発生と特異的に関係する遺伝子カセットも見つかった。咽頭鰓裂は体壁に孔が並ぶ構造で、全ての新口動物で少なくとも原始的な形態のものが見られ、現在では次第に、新口動物全体の明確な特徴の1つだと考えられるようになっている。
Nature527, 7579
2015年11月26日
原著論文:
doi:10.1038/nature16150
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