5日付け読売新聞電子版速報記事から。
「婚活イベント」国が支援...来年度、基金創設へ
内閣府は、結婚相手を探すため地域で開かれる「婚活イベント」に、運営費など財政面の支援を検討している。
イベント費用などを賄うための「少子化危機突破基金」(仮称)を2014年度から創設する案が出ている。安倍内閣が力を入れる少子化対策の一環で、内閣府が7日に開く「少子化危機突破タスクフォース」(議長・森少子化相)の部会で、有識者を交えて具体的な議論を始める。
内閣府では、結婚から出産まで幅広く活用できる基金をすべての都道府県に設け、男女の出会いの場を地域ぐるみで企画する大規模イベント「街コン」などの費用を補助する仕組みを想定している。結婚しても経済的な理由で出産をためらう夫婦がいることを考慮し、新婚家庭や子どもの多い家庭が公営住宅に優先的に入居できるための支援も行いたい考えだ。
関西大の宮本勝浩教授(理論経済学)が5月に発表した試算によると、300人規模の街コンを年間2000回行った場合、交際を始めたり、結婚を決めたりしたカップルのデート代や結婚費用などで経済効果は年間約1400億円に上った。内閣府は、婚活支援が消費拡大や地域活性化にもつながると判断し、てこ入れすることにした。
(2013年10月5日15時14分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20131005-OYT1T00542.htm?from=blist
うーん、内閣府の「少子化危機突破タスクフォース」(議長・森少子化相)が「少子化危機突破基金」(仮称)を創設し、結婚相手を探すため地域で開かれる「婚活イベント」に、運営費など財政面の支援を検討しているとのことです。
国費で「少子化危機突破基金」が地域で開かれる「婚活イベント」を財政支援ですか。
婚活を支援するならば基金の名称は「少子化危機突破基金」はさすがにないでしょうね、小心者の私のような人間は少子化危機突破基金後援の婚活イベント参加なんて、恥ずかしゅうて躊躇してしまいますが(苦笑)、いかがでしょうか。
さて、少子化対策の一環としてのお国を上げて結婚適齢期層の婚活支援ですが、私のような中年オヤジとしては時代の変化を感じずにはいられませんが、まあこれも結構なことでしょう。
しかし細かい話で恐縮ですが、内閣府が参考にした関西大の宮本勝浩教授(理論経済学)が5月に発表した試算、デート代や結婚費用などで経済効果が年間約1400億円ですか、この経済効果を期待した「基金創設」だとすれば、これは本末転倒ではないでしょうか。
300人規模の街コンを年間2000回で年間約1400億円の経済効果ですか、政府後援婚活で年間延べ60万人参加を見込めるのかはなはだ疑問ですが、そもそも婚姻数の減少の主因のひとつは若年就労者の2人に一人がアルバイトやパートなど非正規雇用労働者であり、経済的に不安定であることが結婚をためらわせてる現実を考えれば、「カップルのデート代や結婚費用などで経済効果は年間約1400億円」という試算の根拠は不明ですが、貧乏な若いカップル達からそのような「経済効果」を国が期待することは筋が」悪すぎだと思います。
そのような経済効果を期待するのではなく、男女とも育児休業や短時間勤務を取得しやすくする、中小企業における環境整備を働きかける、パートタイマーなど非正規労働者も育児休業を取れるよう法整備をする、少子化対策として政府が若者の結婚がしやすい環境作りにもっとお金を掛けるべき施策は少なくないはずです。
国費で「少子化危機突破基金」が地域で開かれる「婚活イベント」を財政支援、それ自体は異論はありませんが、その理由付けに「内閣府は、婚活支援が消費拡大や地域活性化にもつながると判断し、てこ入れ」とは、違和感があります。
経済的理由で結婚に躊躇している若者達が多いのに、試算通り「デート代や結婚費用」で1400億円の経済効果を政府が期待するなんて、筋が悪すぎです。
本末転倒です。
若者たちは経済的ゆとりはないはずです、そのような若者たちが「デート代や結婚費用」に大金を使わなくても結婚できるような、そのような支援策こそ、政府は考案すべきではないのでしょうか。
「少子化危機突破基金」(仮称)の名称とともに、施策の再考をお願いしたいです。
(※2013年10月5日の「木走日記」より転載しました)