今こそ大切にしたい日本人の「民度」~「中国BBS」の話題と「国際成人力調査」結果からゆるりと考察してみる

各国から称賛される日本人の礼儀正しさ、マナー、他者への配慮、治安の良さ、「おもてなし」の心、日本人の「民度」の高さは大切な日本の外交力になりうるのだと思います。国際的に日本の発言力を強化するためには、防衛力などのハードパワーの強化も必要ながら、高い「民度」を維持する、強いソフトパワーを有し続けることが地味ですが大切であると考えるわけです。

ウィキペディアより。

民度

民度(みんど)とは特定に地域に住む人々の知的水準、教育水準、文化水準、行動様式などの成熟度の程度を指すとされる。明確な定義はなく、曖昧につかわれている言葉である。テレビ番組の内容が時代、地域の民度と連動しているとの考えも存在する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E5%BA%A6

「民度」とは明確な定義はありませんが「特定に地域に住む人々の知的水準、教育水準、文化水準、行動様式などの成熟度の程度を指す」わけです。

今回は少し肩の力を抜いて我々日本人の「民度」についてゆるりと読者のみなさまとともに考察いたしてみたいです。

最近の話題からふたつの角度で日本人の「民度」をとらえてみましょう。

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一つ目は中国人の視点からです。

私は中国や韓国の一般の人々が日本に対してどのような意見を持っているのかを知る上で、海外のネット上の話題をよく記事に起こしている「サーチナ」サイトを利用していますが、最近掲載された【中国BBS】関連の記事二題がとても興味深かったです。

【中国BBS】日本からは"サッカーより人間たるものを学ぶべき"

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1015&f=national_1015_006.shtml

【中国BBS】日本代表に称賛の声...試合後にゴミを拾って分別

http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1016&f=national_1016_042.shtml

日本ではあまり話題になっていませんが、サッカーU-19アジア選手権の予選が中国浙江省で行われていたわけですが、その日本人選手の行動が中国のネット上で話題になっているようです。

ひとつは日本とマレーシアの試合終了後、10人ほどしか観客が残っていなかったものの、日本の選手は整列して観客席に向かって一礼したのだそうです。

この行動に対する中国人の感想を記事より抜粋。

「これが礼儀だよな。日本は礼儀の面では確かにすばらしい」

「日本人の礼儀は世界一流だ。たとえ見せかけであっても、こんなに長く見せかけられるんだから」

「中国人がこれくらい謙虚になれば、先進国になれる日も遠くないのだが」

「中国は"礼儀を重んじる国"を自称していたのに、ほとんどなくなってしまったことが問題なのだ」

「日本にサッカーを学ぶ前に、先に人間たるものを学ぶべきだ」

「お辞儀(じぎ)しただけだろ。感謝を演じてみただけだ」

もうひとつの話題は日本と中国との試合後、日本代表の選手たちがピッチ上のペットボトルのゴミを拾って集めたことに驚きと称賛の声が上がっています。

中国人の感想を記事より抜粋。

「このペットボトルは高く売れるかな」

「こんなに拾えたぞ。今日は寿司(すし)が食べられるな」

「日本から学ぶべき点はたくさんある」

「民度の高さだな。これは認めざるを得ない」

「フタとボトルをきちんと分別しているのに気が付いたか?ゴミを拾うのにも民度の高さが表れている」

「こういう民度がうらやましくて仕方がない! 移民したくてたまらないよ!」

今回だけではないですが、「サーチナ」サイトなどで中国のネットの声を拾っていますと反日教育されているはずの若い世代のはずですが、意外なほど日本の「民度」の高さを彼らは素直に認めているケースが少なからず見受けられます。

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二つ目は「国際成人力調査」で日本が3分野中2分野でトップという高い成績を収めたニュースから。

BLOGOS記事から。

国際成人力調査

OECD加盟国等24か国・地域(日、米、英、仏、独、韓、豪、加、フィンランド等 )の成人(16~65歳)のスキルを調査する目的で、OECDが実施。「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力を問う出題。

二分野で1位、「戦後の義務教育の成果」

日本は「読解力」「数的思考力」の2分野で平均点が1位となった。上位と下位の差や、職業や学歴による差が小さく、幅広い層で高い能力を示した。中高年が好成績だったのも特徴で、文部科学省は「戦後の義務教育の成果」と分析している。

一方「ITを活用した問題解決能力」は10位。で、16~24歳では14位だった。日本に次いで好成績だったのがフィンランド。3分野とも2位となり、子どもを対象に行なわれる国際学習到達度調査(PISA)と同じく世界的に高水準だった。近年、PISAでは、日本は順位が低下する傾向にあり、若年層の教育について懸念する声もある。

http://blogos.com/news/PIAAC/

まあIT分野が振るわなかったことから日本人の「デジタルデバイド問題が表面化した」とする正鵠を射た意見もあります。

デジタルデバイド問題が表面化した国際成人力調査

http://blogos.com/article/71368/

文部科学省公式サイトより。

国際成人力調査(PIAAC:ピアック)

※PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies

国際成人力調査とは

経済のグローバル化や知識基盤社会への移行に伴い、OECDに加盟する先進国では、 雇用を確保し経済成長を促すため、国民のスキルを高める必要があるとの認識が広まっています。このような中、OECDでは、各国の成人のスキルの状況を把握し、各国の政策に資する知見を得ることを目的として、初めて本調査を実施しました。

OECD加盟国等24か国・地域(日、米、英、仏、独、韓、豪、加、フィンランド等 )が参加し、16歳~65歳までの男女個人を対象として、「読解力」「数的思考力」「ITを活用した問題解決能力」及び調査対象者の背景(年齢、性別、学歴、職歴など)について調査しました。

その調査結果は、各国の成人のスキルの状況を把握し、成人のスキルの社会経済への影響や、スキルの向上に対する教育訓練制度の効果などを検証し、各国における学校教育や職業訓練など今後の人材育成政策の参考となる知見を得ることに活用されることが期待されています。

OECDから本調査の国際報告書が平成25年10月8日に公表されたのに合わせて、国立教育政策研究所が、国際報告書のうち日本に関係が深い部分をまとめて分析を加えた日本版報告書を作成しました。

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/1287165.htm

で、公表されている結果をよく眺めてみますと、振るわなかった「ITを活用した問題解決能力」ですが、コンピュータ調査を受けた者の平均得点では、やはり日本が第一位の平均得点だったことがわかります、ちょっと表にしてみます。

■表1.PIAACの分野別結果の各国比較

2013-10-21-1021a.png

※「ITを活用した問題解決能力」のコンピュータ調査を受けた者の平均得点

http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/data/Others/__icsFiles/afieldfile/2013/10/08/1287165_1_1.pdf

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まとめです。

私は専門家ではありませんのでこの「国際成人力調査」の結果がどの程度各国の「民度」なるものと相関しているのか知るすべはありませんが、民度が「人々の知的水準、教育水準、文化水準、行動様式などの成熟度の程度を指す」ものとすれば、成人力とある程度の関連があるとも思えます。

最近、「従軍慰安婦問題」で中国や韓国などから70年以上前の日本人の振る舞いを批判されているわけですが、我々日本人として心したいのは、現在の日本の「民度」の高さをできる限り維持していくことだと思うわけです。

各国から称賛される日本人の礼儀正しさ、マナー、他者への配慮、治安の良さ、「おもてなし」の心、日本人の「民度」の高さは大切な日本の外交力になりうるのだと思います。

国際的に日本の発言力を強化するためには、防衛力などのハードパワーの強化も必要ながら、高い「民度」を維持する、強いソフトパワーを有し続けることが地味ですが大切であると考えるわけです。

読者のみなさんはいかがお考えでしょうか。

(※2013年10月19日の「木走日記」より転載しました)

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