「IQ」は純粋に知能指数を指しますが、それに対して、自分自身や他人の感情を理解して、同時に自分の感情をコントロールする心の知能指数を指す言葉に「EQ」(Emotional Intelligence Quotient)というものがあります。※1 EQが高くなると、
- 人間関係を上手に構築してそれを維持できるようになる
- 人間関係から得られる支援やサポートを活用できる
- 自分と周囲の力を合わせ目標を達成できるようになる
ことから、EQの採用とその向上に努める企業も多いようです。
心理学の専門誌「Psychology Today」で掲載された記事によれば、職場でのパフォーマンスが高い90%の人のEQは高く、逆にパフォーマンスが低い80%の人のEQは低いという結果に。 ※2
IQは先天的なものなので高めるにも限界があると言われていますが、EQは後天的なものなので努力をすれば高めることが可能だと言われています。そこで、そのEQを高める5つの方法をご紹介です。
①"ネガティブな感情"と上手に付き合うための方法を知る
人間だからネガティブな感情を持つのは当たり前のこと。でも、怒り、フラストレーションなどの感情に支配されてしまわないこと、そしてその感情を自分の判断に影響させないことが、EQを高めるのには重要です。どうしてもコントロールできないネガティブな感情にぶつかってしまったら、その感情を書き出してみる、短い散歩に出る、自然の中で時間を過ごす、ネガティブな感情のこもったメールを送る前にしばらく時間を置く、などのちょっとした行動が、冷静な自分を取り戻すきっかけになります。
②プレッシャーが強い状況でも. 平静を保つ方法を知る
プレッシャーを感じてパニックに陥ってしまうこと、きっと誰にでも経験がありますよね。でもプレッシャーをうまく扱うことも、EQを高めるにはとても重要です。簡単な対処方法の例として、深呼吸をする、気持ちを落ち着けて心の中で10数える習慣をつける、また①にあった「自然の中で自分を過ごす」という方法も効果的です。
③空気を読む
EQの高い人は、周りの人の感情や表情、ジェスチャーや表現、その場の雰囲気などを正確に読み取る「空気を読む」力が高いと言われています。空気を読む力をつけるには、相手の行動や発言を受けて「こういう意味だ」と主観で判断してしまうのではなく、客観的に見て考えることが必要だと考えられます。もしどうしても理解できないのであれば、自分の判断に任せてしまわず、「自分はこう思っているけれど間違いないだろうか」と相手とじっくり話し合うことが大切です。
④自分の主張、心の奥にしまいがちな本音を相手に伝える
人間関係において大事なのが境界線。相手の気分を害するのではないかと不安になり、頼まれたら嫌と言えない......なんてこともあると思いますが、必要に応じて相手にはっきり「ノー」と言うことは大切です。それが相手を拒絶することにはなりませんし、心苦しく感じる必要もありません。ただ、「こうするべきだ」「こうする必要がある」と相手に自分の主張を一方的に押し付けるのではなく、「私はこう思うからこうしたい」と、思っていることや感じていることを率直に、誠意を込めて表現できたら、きっと相手にもその真意を理解してもらえるはずです。
⑤自分が感じている深い気持ちを大切な人と共有する
EQを高めるのに有効なのが、大切な人と親密な関係を築き、それを維持すること。それには、自分の奥深くにある気持ちを建設的に相手と共有すること、そして相手が同じように自分の気持ちを表現してくれた時、例えそれがネガティブなものであったとしても、前向きに受け止めるよう努力することが大切です。相手のことを心から信じていて、大切に想っているということを表現した上で共有すれば、それがさらに強い絆へとつながります。そしてその強い絆は、私たちの人生にしっかりとした基盤を作ってくれます。
自分の感情を上手にコントロールすることで、本来自分が持っている能力を最大限に活かすことができるだけでなく、人間関係を円滑にして、私たちにより豊かな人生をもたらしてくれるEQ。みなさんもぜひ、仕事だけでなく人生のあらゆる場面で意識してみませんか?
脚注:
※2 Preston Ni, M.S.B.A.、"Five Keys to Enhancing Your Emotional Intelligence"、Psychology Today、2012年1月25日