こんにちは。私は西アフリカのモーリタニアで大発生するサバクトビバッタの生態を調査しているバッタ博士の前野ウルド浩太郎と申します。
編集者の猪谷千香さんのご紹介で、このたびハフポスで筆をとらせていただく運びとなりました。普段は「砂漠のリアルムシキング」というブログを安否確認も兼ねて細々とやっており、アフリカでの生活や文化、昆虫の事などを紹介しております。
今回はハフポス初登場ということで、自己紹介も兼ねて記事を掲載させていただきます。確実にハフポスの景観を損ねる存在になると思います。(本文の前に戯言を述べるのがスタイルです。この先が本文になります。どうぞ一線を越えて下さい)
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ハリネズミは背中にトゲ状の体毛を生やした小動物。
そのトゲは天敵から身を守るのに役立つ。しかし、それはときとして障害となり、たとえ話「ハリネズミのジレンマ」に用いられる。
注:元々は「ハリネズミ」ではなく、「ヤマアラシ」だったのだが、「新世紀エヴァンゲリオン」の第四話 雨、逃げ出した後」のサブタイトル「Hedgehog's Dilemma」 で用いられたのが始まりだそうな。Hedgehog:ハリネズミ
元々のヤマアラシのジレンマとは、哲学者ショーペンハウエル氏の寓話を元に心理学者フロイト氏が作った人間関係に関するたとえ話。適当にアレンジしてその話を述べると、
寒さに震える二匹のヤマアラシ
温もりが欲しくて互いにくっつくと、トゲが刺さって傷つくし、相手も傷つけてしまう
かといって離れると温もりが届かず寒い
近づきたいのに近づけない、離れたいのに離れられない
近づいては離れるのを何度も繰り返すうち、やがて二匹は温もりを感じつつも傷つかない距離を見つけ、幸せになった。
(なお、実際のヤマアラシは針のない頭部を寄せ合って体温を保ったり、睡眠をとったりしている。Wikipediaより)
このジレンマは人間関係にもあてはめられ、お互いに近づきすぎると傷つき傷つけてしまい関係が悪化する。かといって距離をとると疎遠になり、親密な関係が築けない。人にはそれぞれの最適な距離感があるというお話。
好きだからとくっつきすぎると、相手も自分も傷ついてしまう、
反対に相手を傷つけまいと離れると、相手も自分も寂しくなってしまう。
「だったらトゲ抜けばいいじゃん」という野暮な意見は置いといて、人との距離感のとり方は難しいもの。
私、モーリタニアでヤマアラシと似たようなトゲだらけの2匹の野生のハリネズミ(ハロウとユーロウ)と一緒に生活しております。触りたいのですがトゲがささるためジレンマをひしひしと感じております。
じゃれるハリネズミ
足で扱うことに対して不快に思われる方が多数いるかと思います。できることなら私も素手で触りたいのですが、野生のハリネズミが保持している未知の病原菌に犯されるのが怖いんです。素手で触ると普通に流血するので、申し訳ないのですが触れあい専用のサンダルでコミュニケーションをとっています。
彼らと戯れている時に疑問に思ったことがあります。自分は道具があるから無理やり触れるけど、「彼らはどうやって交尾するんだろう?」と。だって、交尾は接近戦のはず。
「ハリネズミのジレンマ」に彼らはどのように立ち向かっているのか。これを検証するためにはメス個体が必要となります。(ちなみに性別はハロウとユーロウはオスです)
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とある日、自宅の前でメス個体を捕獲しました(モーリタニアの大自然をなめないでいただきたい)。
メス個体をハロウとユーロウに提示したところ、2匹が興奮し始めました。
こ、これは、もしや交尾したいのでは。。。。
私の疑問「ハリネズミのジレンマ」が解決される日がとうとう来ました。
その模様をご覧ください。
ハリネズミのジレンマ
大暴れ(笑)
痛みとかガン無視でした。
「ジレンマ」とかフロイト氏が言っていたのですが、交尾をしたいオスの前には無問題のようです。
私は学びました。
多少の痛みで夢を諦めるなら、そこまでして叶えたい夢ではない。
夢を叶えるためには、どんな痛みにぶち当たっても諦めず、信念を貫く必要がある。
そして、ジレンマに打ち勝った者だけが手にできるものが、「夢」なんだと。
ハリネズミの交尾行動(前戯)は、私に大切なことを教えてくれました。
残念なことに、メスはこの後も交尾を拒否り続け、次の日逃走したため、どうやって交尾するのか未だに観察できておりません。ごめんなさい。
現在、私は33歳無収入・独身男性・アフリカ暮らし。物思いにふけることが多い今日この頃、大いなる自然は私に教訓を授け、励ましてくれます。
私の貯金はもってあと一年。
この一年に全てを賭け、アフリカをバッタの恐怖から救ってきたいと思います。
皆様、どうぞ応援よろしくお願いいたします。
PS
今年度の生活費はバッタ本の印税に頼り切りでございます。
あなたのそのポチりが世界をバッタの恐怖から救う手助けとなります。