眠れない時は目をつむって横になるだけでもいいって本当?

睡眠研究の世界的権威である、筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史さんに聞きました。
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「眠れない時は目をつむって横になるだけでもいいって本当?」

答えは「いいえ」、さらに言うと「やめてください」です。

その理由は…。

睡眠研究の世界的権威である、筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構長の柳沢正史さんに聞きました。

ベッドが「眠れない」場所に

ベッドで横になって安静にすることで、体は休まるかもしれませんが、眠ったことにはなりません。

睡眠衛生的にとても大事なのが、眠れない時はベッドから出ること。眠くもないのにずっとベッドに入ったまま悶々としているのが一番よくないんです。

これは心理学でいうところの条件付けで、いわゆる「パブロフの犬」と呼ばれるものですね。

犬に、ベルを鳴らして食べ物を与える行為を繰り返すうちに、ベルが鳴るだけでよだれが出るようになる。これと同じことが人間にも起きる。ベッドは眠れない場所だと条件付けされてしまうんです。

実は不眠症を訴える方の多くが、そういう状態にあるんです。23時や24時に「あ、寝なきゃ」といってベッドに入る。けれど、ぜんぜん眠くならない。それを繰り返すうちに睡眠不安に陥って余計に眠れなくなる悪循環が、典型的な不眠症なんです。

だから、「眠れない時は目をつむって横になるだけでもいいって本当?」に対する答えは「いいえ」、さらに言うと「やめてください」です。

仕事のストレスやいろいろな考え事で眠れない時は一旦起きて、ベッドから出る。音楽を聴いたり、ノンカフェインのお茶を飲んだり、ストレスを忘れて少しでもリラックスできるようなことをして、本当に眠くなってからベッドに入ってください。

それでもまだ眠れないようなら、一人で悩まず専門医に相談してください。私が発見した睡眠を制御する物質「オレキシン」に基づく睡眠薬は依存性が少なく、安全性も高い。病院に行けば処方してもらえますので、そうした処方睡眠薬を使うのも方法の1つです。